第97回
第97回MURオープンゼミナール
■「大規模災害時に有効な避難誘導計画における都市機能整備」 (秋月)
モノを視認するメカニズムについて 「明視性評価法」
・明視=はっきりと物を見ること=視環境として保証すべき最低条件
・どのように明視要素が変化するか把握することが必要
災害時の避難経路の視環境予測手法
・火災煙下での避難には避難標識の視認性が重要要件
・避難標識への煙の付着を考慮した視野輝度予測が必要
⇒距離減衰、散乱、煙の付着による減光を考慮した予測式の確立
・実験による検証、韓国テグ地下鉄への応用
大規模災害に対する避難誘導としての都市機能整備
・地下街火災想定時の煙流動と避難経路の視環境整備
⇒京都O地下街:天井以外の床面照度確保が必要
・広域避難場所への誘導標識に関する行政の取組の実態と課題
⇒京都市東山区:標識配置不足、視認性不足
・各国の美しく災害に役立つサイン
⇒見やすいサインは美しい、災害に強いサインは美しい、英語表記の必要性
質疑
非常用サインには視認性確保のため、明るさだけでなく、ある程度の大きさも必要
避難経路上では経路探索のために有益なもの、ノイズになるものがあり、標識の配置計画も重要
広域避難場所の明示に関しては、行政に提言をしていくことでデザインを統一しうるのではないか
■「大規模地下空間における災害時のリスク評価と安全対策に関する研究」 (田中)
地下空間の避難事例分析
ex)テグ地下鉄(韓国)、北陸トンネル、大清水トンネル、三池鉱山、ユーロトンネル
⇒避難距離が長大、避難経路の欠如、設備知識不足、マニュアル不足・不理解
地下空間における人間活動が内包する災害リスク
・発生要因:保守・操作・マネジメントの人間系の要因が70%:完全に防ぎきれない
⇒合理的な避難対策の必要性
地下空間避難に関係する要素の実験的検討
・煙中での(水平・上向き)歩行速度
・地下空間に対する印象の評価
・地下空間における経路選択
地下空間における避難安全支援の施策
・新たな災害の経験を経て、対策が拡充される
地下空間のリスク評価
・避難の成否に対する各種要因
⇒事態の切迫性、安全な場所までの距離・移動速度、救助のアクセシビリティ
・地下空間の安全な避難に必要な設備
ex)400mごとの一時避難場所、下向きの迂回路
質疑
火災時にショートを恐れて、列車を停めてしまう事例があったが、北陸トンネルの事故以降は、停めずに乗客をそのまま避難させるようになった
大規模地下空間で避難経路確保のためには、予め排煙機・送風機等の設備設計が重要である
トンネル内での列車火災等には緊急連絡用の呼び電源を備えた無線中継設備等があると良いのではないか
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