第94回
第94回MURオープンゼミナール
■「カトリーナ災害 対応と復興の調査報告」 (越山)
ハリケーンカトリーナによる被害概要
・2005年8月合衆国ルイジアナ州を中心に死者・行方不明者約1300人
・ニューオーリンズでの被害:豪雨、高潮、浸水
・被害拡大の要因:
ミシシッピ川河口域の湿地帯、海抜0m地帯、
周辺水域は水深4~5mの浅瀬であったため
災害時の行政の対応
・災害対策調整本部の設置:
徹底した現場主義と役割分担、
国・州・地方共通のルールに沿った対応(Incident Command System)
・関係省庁・機関間での支援調整(Emergency Support Functions)
■「ニューオーリンズ・カトリーナハリケーン被害からの復興計画について」 (小林)
Bring New Orleans Back委員会が現市長にアドバイスするために作成した計画案
(シカゴ・イリノイ大学教授都市計画専攻ロブ氏による解説)
・堤防の補強
・交通網の整備(LRTの導入)
・公園・オープンスペースの補充
・近隣社会の再生
→計画理念としては素晴らしいが、費用が膨大で非現実的
(関東大震災後の「後藤新平の大風呂敷」のよう)
質疑
災害からの復旧過程で、日本と合衆国の相違点は何か。
→災害時は人的資源が限られるわけだが、
日本では特定の担当者が単独で過密な労働を強いられることが多い。
合衆国では、特定の個人に依存せず、決められたルールの下、
大人数で情報の共有、作業の分担が行われる。
災害発生時、現地の民有地に災害対策機関が設置される場合があるとのことだが、 事前に設置のルールづくりはされているのか。
→ルールはなく、現地でテンポラリーに決定される。
国が借用のための十分な予算を確保するため、
民有地借用にあたって混乱は少ない。
災害発生から7ヵ月後の調査時点で、復旧の目途は立っていないように思われるがそれは何故か。
→この地方の人々は土着意識が低く、
わざわざ廃屋の撤去をしてまで元の土地に戻ろうとは思わないらしい。
行政側の政策も消極的。
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