第86回

第86回MURオープンゼミナール

災害復興をめぐる制度的諸問題 ~阪神・淡路大震災から学ぶ~

■阪神淡路の被害特質と防災制度・システムの課題

1)対応能力を上回る大量被害

低頻度巨大地震にどう対処するか

「後の先」としての事後対応のあり方

2)甚大かつ長期の間接被害

二次・三次被害にどう対処するか

経済的・精神的被害への対応のあり方

→→進化する災害(新しい災害)に後追い的で縦割り的なシステムは有効に対応できなかった。

Memo:

何のために法律・制度があるのか⇒共感できる目標があり、それを達成するためにある。ルールが先に来てはいけない。

災害・社会状況の進化・変化⇒法律・制度も変わらなければならない。

果たして社会と合致しているのか。

■災害の進化と防災制度

○災害の地域性と歴史性そして進化性

寺田寅彦の「災害進化論」に学ぶ

○災害、進化をもたらした社会情勢の変化

空間構造の変化・・・都市空間の肥大過密化

社会構造の変化・・・社会階層の多様化とコミュニティの希薄化

経済構造の変化・・・経済のグローバル化

技術構造の変化・・・防災技術基盤の進化

→→制度に進化性と柔軟性が求められる

Memo:

原型復旧主義

被害総額

①公表した被害総額のお金が出る(被害が3兆円だといえば3兆円出る)

②結局元に戻すだけに使われる

●復興

復興事業⇒地元(地域社会)にお金が入ってこない。周辺地域が儲かっている。

■減災のシステムと防災制度

○減災のサイクルと防災制度

物的減災/事前防備/応急対応/復旧復興

応急対応中心主義的なシステムからの脱却

○減災のパートナーシップと防災制度

自助/共助/公助

自立的共助システムの制度的再構築

→→制度に総合性と自律性が求められる

Memo:

阪神大震災後、東京とは改定したが結局、応急対応にしてしまった。

地域防災計画

復旧⇒義捐金のことしかない

世界防災会議では予防中心であった。

大大特⇒大半が救助ロボットにとられ、耐震が少し。火災対策など「壊れない燃えない」にはなぜか援助が出ない。

消防もスーパーレスキューなど派手なものだけでなく、予防に力を入れるべき。

■復興制度の検討課題について

○予防法・救助法・復興法の体系化

災害復興法の創設&災害対策基本法の改定

予防と救援・復興との有機的な連携

○包括的で自律的な補助金制度の確立

メニュー主義や縦割り補助金からの脱却

○暮らしと地域の再建支援制度の拡充

・ハード主義あるいは現物主義からの脱却

・中小企業等への支援対策の充実

Memo:

住宅再建といえば、公営住宅から始まるが、「とりあえず仮設」になっている。そこには、方向性、つながりがない。⇒復興法の創設の必要性

現物支給主義⇒「住宅をつくって、ここに入りなさい。」「弁当を持ってきてこれを食べなさい。」では、物をつくる喜び、自律を得られない。

(室崎)行政が何もしていないんだから、災害に対しての補償はすべきだろう。(津波⇔護岸)

(法学)自然災害と国は関係ない。自然災害に対しては、補償できない。

■復興制度の検討課題について

・克服すべき2つの復興原則

1)救貧保護主義

2)原型復旧主義

memo:元に戻すだけでは「反省」がない。

⇒創造的復興

資金を前倒ししても、後々活かされるはずである。

3)現物支給主義

■復興制度の3本柱

・住宅再建

・地域回復

・都市復興

■住宅再建支援制度について

自助、公助の仕組みを共助で保管

耐震補強と再建支援の相互連携を図る

公的支援の抜本的改善を図る

連絡先:神戸大学北後研究室

TEL 078-803-6440

MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。

Last Updated 10/05/2019 13:48:09