第83回

第83回MURオープンゼミナール

減災環境設計とサスティナブルコミュニティ

■阪神大震災で問われたこと

○都市空間の脆弱性

なぜ6千人もの命が失われたのか?

…住宅が脆弱であったため

なぜ70haもの地域が焦土と化したのか?

…市街地が脆弱であったため

○都市計画の脆弱性

なぜ脆弱な空間が放置されたのか?

・・計画原理と設計理論と実行管理が欠落していたため

■J.ジェコブスの問いかけ

「アメリカ大都市の死と生(1961)」

「計画理論のおかげで、都市の欠陥地域は次から次へ拡大し衰亡していく」

…近代の都市計画論(用途純化、高度利用など)それに基づく都市環境が犯罪を誘発している

■都市リスクの増殖と環境に作用

○被災の空間構造

3つの環境の疲弊と衰退がリスクとハザードを増殖している

…地球環境、構造環境、社旗環境の疲弊

4つの環境の作用や関与がリスクとハザードを増殖している

…誘発、媒介、破壊、増殖の作用

■マルチハザードとアーバンセキュリティ

○アーバンセキュリティにおける

セキュリティの重視

公衆衛生あるいは漢方医学手法の重視

■被災基盤と被災要因

○被災の空間構造

直接要因としての要因

素因(内在環境要因)と起因(外圧環境要因)

なお、素因には機会因や媒介因が含まれる

間接要因としての基盤

要因を作り出す環境としての被災基盤

なお、この基盤には、ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアがる

■都市災害の空間構造

○人的基盤と社会的基盤と物的基盤

○犯罪者要因と被災者要因と機会要因

都市の放火と住宅の火災について、被災の空間構造を考えてみよう!

■減災のための環境設計

○その有効性と限界性・・いわゆる環境決定論

○その戦略性と戦術性・・いわゆる環境設計論

安全基盤を構築する

安全性能を内包する

持続性、多様性、文化性、生態性

■都市リスクの低減と環境の性能

○環境の安全性能(1)

耐震性:耐火性や耐震性

緩衝性:免振性や緩和性

局限性:遮断性や鎮圧性

冗長性:多重性や補完性

復元性:回復性や再建性

■都市リスクの低減と環境の性能

○環境の安全性能(2)

連帯性:扶助性や連携性

監視性:監視性や人目性

自律性:管理性や規範性

共存性:複合性や融合性

文化性:継承性や個別性

■減災環境設計の手順

評価と認識:アセスメントとパーセプション

構想と戦略:ビジョンとストラテジー

資源と技術:リソースとテクノロジー

融合と整合:コーディネートとデザイン

連携と共創:アクションとパートナーシップ

■環境設計の3大戦略

○大戦略としてのサスティナビリティ(環境)

グローバルプラン

コンパクトシティ、スマートコミュニティ、エコハビタ

○中戦略としてのセキュリティネット(システム)

ストラクチュラルプラン

人のつながり、自然のつながり、空間のつながり

○小戦略としてのスペースアビリティ(要素)

コミュニティプラン

小さな公共空間

■設計規範と設計言語

○設計規範としてのデザイン憲章

アワニー原則やニューアーバニズム憲章

○設計言語としてのパターンランゲージ

アレクサンダーのパターンランゲージ

○設計手法としての性能評価

都市レベルの性能設計論

■設計の各論

○空間秩序の設計

自然の秩序と文化の秩序

○空間施設の設計

耐震化と社会化

○社会資源の設計

ソーシャルキャピタル

連絡先:神戸大学北後研究室

TEL 078-803-6440

MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。

Last Updated 10/05/2019 13:48:08