第82回
第82回MURオープンゼミナール
防災まちづくり支援システム(小泉)
防災まちづくり支援システム
①延焼シミュレーション
②アクティビティシミュレーション
↓ 課題発見
災害に強いまちづくりの検討
・ 建物建築年次区分図
・ 建物階数図
・ 道路幅員図
・ 消防ホースの到達範囲図(消防水利から140m)
①延焼シミュレーション
(大地震の際、消火栓は使用不可、消防隊による消火活動は行われない状況下)
・ 出火から180分までの延焼状況(30分毎)
・ 出火から360分までの延焼状況(60分毎)
②アクティビティシミュレーション
(大地震により建物が倒壊した状況下)
・ 4種類の移動手段について(徒歩、担架、消防車、小型車)道路閉塞確率をシミュレート
→瓦礫が道路から1mせり出していれば通行可能
・ 到達困難性
(1)一時避難場所への到達困難性(徒歩)
(2)二次避難場所への到達困難性(徒歩)
一時避難場所蚊⇒二次(外周道路)
(3)消防水利への到達困難性(消防車)
消防車が通る3.0mは確保しにくい
(4)消火対象への到達困難性(徒歩)
消防水利から消火対象(各建物へ)
(5)救出対象への到達困難性(小型車)
(6)救護所への到達困難性(担架)
各建物から救護所へ
(7)消防水利を経て、消防対象への到達困難性
外周道路⇒消防水利まで(消防車)
消防水利⇒消火対象(徒歩)
「自主防災から始める緊急型防災まちづくり」の進め方(入江)
① step1 地域住民の危機意識・防災意識の向上
⇒GISを活用した災害シミュレーションによる街の防災性能評価
step2 自助
⇒身近なところから取り組む
検討項目:防災訓練、家具の固定、耐震改修 等
step3 共助
⇒地域のみんなで助け合う
検討項目:防災訓練、防災マップ、共同建替 等
step4 公民協働
⇒今後のまちづくりを考える
検討項目:まちづくり計画、広場・道路整備、面整備
② モデル事業実施地区
・ 堺市野田地区
・ 寝屋川市池田旭町地区
③モデル事業の実施体制
④ワークショップの内容(過去3回)
⇒支援システムの活用
住宅密集市街地における市の整備計画
池田、大利地区
1~3回のワークショップ
・ 延焼シミュレーション条件
出火から360分までの延焼状況
・ 建物倒壊確率(池田旭町地区)
道路閉塞確率(消防車)
・ 一時避難場所への到達困難性(池田旭町)
・ 消火対象への到達困難性
◇池田旭町の防災性向上のために
・ 延焼シミュレーション
出火6時間後の延焼範囲
・ 生活道路6.7mに拡幅
・ 各建物から一時避難場所への到達困難性(徒歩)
◇堺市野田地区におけるワークショップ
1回目 地区に現時点で考える避難ルートを記入 など
2回目 まち歩き など
3回目 防災マップの作成、防災ルール
堺市 ・ 建物倒壊確率(野田地区)
・ 道路閉塞確率(野田地区)・・・徒歩
・ 道路閉塞確率(野田地区)・・・消防車
・ 一時避難場所への到達困難確率(野田地区)
・ 消火対象への到達困難性(野田地区)
外周道路→消防水利まで(消防車)
消防水利→消火対象(徒歩)
・ 野田地区 ハード対策
町屋などは景観上難しい
細い道を建替え時などに拡幅 など
○ワークショップの成果
・ (共助の起点となる)防災マップの作成
避難ルート、一時集合場所
・ 防災ルールの作成
・ 延焼防止
・ 共助の体制作り
・ 地域のボランティア
・ 取り組みの継続
・ 防災意識の向上
○アンケート結果・・・参加意向
寝屋川・・・積極的に参加 半数以上
・ 回答割合の比較(寝屋川)
低い⇒家具類の固定
家屋やブロック塀の補強
・ 「よくわかった」と回答した割合(%)
《質疑応答》
・ 2地区の選択する上での理由について
⇒条件として、大阪市外縁の住宅密集地であること。つぎに、まちづくり協議会の取り組みで応募をかけ、寝屋川市より応募、最終的に2地区から抽選で決定。 堺市の場合、8つの協議会のうち防災にテーマをおいた地区を選択。
・ データは警鐘的でよいと思う。消防水利については、地区内の貯水槽だけでなく、周辺地区からも水利がとれるのではないか。また、実際、ブロック塀だけでなく、瓦が落ちてきて不都合が起きたことがある。
・ 消防活動について、同時火災が起きたときは、優先的にすることなどがあるのかどうか(消防の方に対して)
⇒同時に起きた場合、数に関しては、平常時、2つはありえても、3つはほとんどない。尼崎では4つの消防署を有しているので4件までは対応可能、実際、許容範囲を超えるとかなり燃えることになる。堺市でも5以上は大変苦しい。
・ 拡幅する際、建物はどのように更新するのか
⇒システムの中では地図上で線を引いただけ。元々あった部分については、2階を3階にする可能性はある。(3階建ては準耐火になるようにする)
・ シミュレーション結果からハード面はいいと思ったが、ソフト面では、実際見たほうが信頼性はあると思った。
・ 2つのシミュレーションを関連させたほうがよいのではないか。技術的には難しいのか
・ 瓦礫より火災で逃げられない。
・ 耐震だけを推すのではなく(町屋などをRCにするわけにはいかない)、耐火改修の必要性があると思う。
・ まち歩きのデータをもりこんだ方がよいのではないか。
⇒身近なデータをもっと盛り込むことは可能かも知れない。
⇒堺ではブロック塀を生垣にすることはしている。
連絡先:神戸大学北後研究室
TEL 078-803-6440
MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。
Last Updated 10/05/2019 13:48:19