第6回
第6回MURオープンゼミナール
第6回オープンゼミナールを下記の通り開催いたします。
ご興味があり、かつお時間が許すようでしたら、遠慮なくご参加ください。毎回時間が変更になり、申し訳ありませんが、今回は午前11時開始です。
今回は、建築研究所で性能規定化に取り組んでいる北後さんを招いて、建築指導行政を巡るホットな話題を再び議論することにします。性能規定化を巡る諸問題の第2弾です。
記
■日 時 1997年11月1日(土)11時より(1の5つ並びです)
■場 所 神戸大学工学部101教室(いつもの場所、環境棟の北)
■話題提供 1)防火・避難の性能規定化について
北後明彦(神戸大学助教授&建設省建築研究所)
2)応急危険度判定制度について
室崎益輝(当研究室教授)
次回以降の予定
12月6日(土)2時から
1) 防災情報システムのあり方について
2) 被害想定のあり方について
①防火・避難の性能規定化について
1997-11-01 北後明彦
1.はじめに
・本日の話は、建研が建築指導課を技術的にサポートしている中での、建研の考え方。
・次期通常国会への改正案(建築指導課が準備中)は、性能規定化への第一歩となる予定。
・建築指導課と法制局との折衝がこれから開始される。
2.性能規定化の背景
・仕様基準から性能指向体系への動き
-「規制緩和」
-「国際調和」
-火災安全工学の進歩
3.性能設計法・性能規定化の海外の動き
・法規の一部を性能規定化(日本の38認定と同じ)
・バス理論(ISOで議論中)
・目的指向型基準
4.防火・避難の性能規定化の考え方(建研版)
・目的を定める←現在の法律で規定されている内容
・設計空間での想定火源によって評価 新しい試験法
・耐火評価法 避難安全評価法 区画設計評価法
5.性能規定化で必要とされる研究課題
・設定すべき火災シナリオ、避難シナリオと確保すべき安全性の関係
・各目的についての性能検証に用いる基礎理論(例えば、ガラスの破壊)
・避難開始などの人間行動理論
②応急危険度判定制度について
神戸大学 室崎 益輝
1.震災危機管理と応急危険度判定
(1)何のために、被災実態調査や危険度判定が必要になるのか。
→被害の軽減をはかる / 速やかな回復をはかる
→二次被害や間接被害を最小にする
(2)応急対応のための調査と復旧復興のための調査の区別と連関。
→応急危険度判定と被災度区分判定さらには罹災証明判定がある
→応急対応では二次災害の防止をはかることが目的となる
→復旧対応では復旧への指針や方策を明らかにすることが目的となる
(3)それでは応急危険度判定は何を目的とするか。
→倒壊や外壁落下などの二次災害の危険性を明らかにし、立入禁止などの緊急措置につなげる
→倒壊や外壁落下などの二次災害の安全性を明らかにし、安心して建物を利用できる方向を示す
なお、参考までに、以下に危険度・被災度の判定フローを示す。
2.耐震基準の変遷と建築物被災度判定
(1)被災度判定の視点から耐震基準の変遷を概観する。
(2)建築物被災度判定の歴史を振り返る。
→イタリア南部地震と「震災復旧技術」総プロ
→メキシコ地震とアメリカ被災度判定マニュアル(ATC20)
→ロマプリエタ地震やノースリッジ地震での先駆的試み
→静岡県や神奈川県での応急危険度判定士の制度化
3.兵庫県南部地震での応急危険度判定
(1)応急危険度判定の実施状況をおさえる。
1次調査(1月18~22日)ではのべ1,398人が参加をして、4階建て以上の一般建築物を目視により調査。2次調査(1月22~2月9日)では延べ5,068人が参加をし、共同住宅約4万7千棟を目視により調査。
なお、体制を以下に示す。応急危険度判定とは別に、民間支援の形をとって建築巡回相談活動(被災度区分判定)が展開された。
(2)教訓と課題を明らかにする必要がある。
1)応急危険度判定に要求される立ち上がりの迅速性をどう確保するか。
→判定士養成、支援体制、地図情報システムなど・・・・
2)応急危険度判定に要求される結果の的確性や普遍性をどう確保するか。
→判定士訓練、マニュアル整備、段階評価システムなど・・・・
3)判定結果についての行政や判定士の責任と権限をどう確立するか。
→行政の改善命令権?、判定士の事故補償制度など・・・・
4)その他
→建築構造の地域性への配慮 / 罹災証明との関係の明確化など・・
室崎研究室ニュース
■11月7,8,9日 地域安全学会(静岡)で「唐山の復興計画」と「復興まちづくり支援における専門家の役割」その他について研究発表を行います。