第234回

日 時:2018年6月16日(土)14時~17時

場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室

司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦

共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局

後 援:兵庫県

内 容:

① 要配慮者利用施設における土砂災害リスクの把握と避難方法の選択

沖村 孝 神戸大学名誉教授、(財)建設工学研究所常務理事

土砂災害警戒区域内の市町村地域防災計画で示された要配慮者利用施設では、その立地する場所での土砂災害リスクを把握し、土砂災害の発生が予想される際には、リスクに応じた避難方法を選択することになる。土砂災害防止法に基づき都道府県知事が指定する土砂災害警戒区域は、土砂災害が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域である。土砂災害の種類・規模や要配慮者施設の立地する位置や敷地周辺の地形等に応じて土砂災害リスクががけ崩れや土石流など異なることを示し、施設の構造によっては土砂災害とは反対側での施設内上階への避難による対応が可能な場合と、土砂災害リスクから考えて施設にとどまらず、あらかじめ安全な避難先に要配慮者を搬送しておく必要がある場合があることについての考察が示された。加えて、要配慮者利用施設の避難行動には地域の支援が必要であることについて言及があった。

② 雨量レーダー等から得られる情報を活用した避難開始のタイミング判断

大石 哲 神戸大学都市安全研究センター教授

台風が接近したり大雨の恐れのある際には、テレビ、スマホ、携帯電話などで情報を集め、集めた情報をもとに避難のタイミングを決め、安全な場所への避難を開始することになる。これらの手段で提供される情報は、細かな地域に応じた気象状況などが提供される場合も次第に増えてきましたが、より限定的な範囲での豪雨により大きな被害をもたらす洪水や土砂災害が、この間、発生してきており、よりきめ細かな状況把握を行うことによって、より適切な避難のタイミングを決めることが可能となる。より細やかな気象状況については、インターネットで提供される「高解像度降水ナウキャスト(気象庁)」「解析雨量・降水短時間予報(気象庁)」「神戸市降雨情報(神戸市)」「兵庫県地域別土砂災害危険度(兵庫県)」「六甲山系の降雨状況(試験運用、国土交通省近畿地方整備局六甲砂防事務所)」等の雨量レーダー等から得られる情報を活用することが考えられる。このような詳細な気象情報と要配慮者利用施設の立地場所の土砂災害リスクから考えられる影響の度合いの見積もりから、避難のタイミングをどのように考えていくのかの考察が示された。

参加者:63人(北後)