第212回

■日時:2016年8月20日(土)14時~17時

■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室

神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740

■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦

■共催:神戸市消防局 ■後援:兵庫県

■プログラム

① 常総水害時の情報と住民避難-災害の教訓をどう活かしていくか-

伊藤哲司 茨城大学人文学部教授・地球変動適応科学研究機関長

2015年9月10日に発生した関東・東北豪雨で、茨城県常総市では鬼怒川が氾濫し大水害をもたらした。この水害で、2人が犠牲になり、多くの家屋が甚大な被害を受けた。もっとも大きな決壊場所となった上三坂地区には、市の防災対策本部から避難指示が出ないという重大なミスも起こっていた。防災無線の放送は音声が反響して明瞭に聞き取れず、内容的にも的確な避難行動を促す指示が出されなかったという問題もある。そもそも歴史的には水害が繰り返されてきた地域であるにもかかわらず、限定的な規模に留まった過去の水害から、自分のところには水はこないと思った住民が多かった。今回の水害から私たちは何を学べるのか、そしてそれを広義の防災教育にどう活かしていけるのかを考える。

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② 河川監視カメラやドローンを利用した洪水流計測の新展開

藤田一郎 神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻教授

昨年度の鬼怒川破堤氾濫に例を見るまでもなく、我が国の河川災害は毎年のように発生している。このような河川災害に対する計画を策定するためには、正確な河川流量の取得が降雨量の把握とともに重要であるが、降雨分布の計測が様々なレーダー技術の発展に伴って高精度化してきたのに対し、流量の計測は未だに浮子観測というアナログ的手法で行われているのが現状である。これに対し、河川沿いに多数設置してある河川カメラやドローンで撮影された河川映像を用い、画像解析によって河川表面流速分布を求めた上で間接的に流量推定を行う手法を長年、研究してきた内容について紹介する。

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