第199回

■日時:2015年 7月18日(土)14時~17時 (申込不要・参加無料)

■場所:神戸大学社会科学系アカデミア館4階404室

■主催:神戸大学都市安全研究センター

■共催:神戸市消防局

■後援:兵庫県

■司会:神戸大学都市安全研究センター長・教授 北後明彦

■プログラム

① 台風ヨランダにおけるフィリピン・レイテ島での避難対応

ピニェイロ・アベウ 神戸大学都市安全研究センター特別研究員

2013年11月、台風ヨランダがフィリピン中部に上陸し、レイテ島を中心に沿岸 部の住宅地が壊滅的な高潮被害を受け、多くの犠牲者を出し た。一方、最大被 災地タクロバン周辺に位置するドゥラグ町等では、町長による避難指示に伴い、 海岸付近にて人的被害が生じなかった事例も見ら れる。現状では該当地域の避 難行動について具体的な検証は行われていない状況にあり、本発表では、ドゥラ グ町・タクロバン町・バセイ町におけ る現地調査に基づき、行政及び住民自治 組織による地域住民の避難誘導状況、事前の避難体制の効果とその有効性などに ついて報告し、高潮災害に 備えた避難計画を検討する上での今後の課題を整理 する。

② ソロモン諸島首都の大水害の影響とその緩和方法:食生活への影響を中心に

中澤 港 神戸大学大学院保健学研究科教授

ソロモン諸島国は,2014年4月に首都ホニアラを中心として起こった大水害により10,092人が避難した。すぐに国内外からの物資や人的な支援が入ったため,避難所で物資に困ることは少なかったが,避難所以外への物資の配給は十分には行われなかった。多くの農地が洪水被害を受けたためにマーケットでの野菜やイモ類の価格が高騰し,米やツナ缶への依存が高まった。被災後すぐ下痢や胃腸炎が流行し,夏には麻疹が流行した。ホニアラ市では家の再建が遅れたが,農村部では畑を複数もつ世帯が多く,ワントークも強固なために復旧が早かった。都市部でも教会を中心としたコミュニティの絆は強いので,避難所以外でも教会を中心とした配給システムや災害教育を平時から行うことによって災害準備性を高めておけば被害軽減に有効であろう。

③ 開発協力と防災・減災、復興

高田 裕彦 独立行政法人国際協力機構 (JICA)関西国際センター次長

神戸大学都市安全研究センター客員教授

防災・減災、大規模災害からの復旧・復興については、国際社会がともに取り 組むべき課題です。特に、開発途上国においては、災害に対する脆 弱性が高 く、政府による公助の能力の制約が大きいため、防災・減災及び復旧・復興は、 開発協力の主要な課題のひとつにもなっています。わが国 が行う、防災・減 災、大規模災害からの復興支援の協力のいくつかの事例についてご紹介するとと もに、開発の在り方そのものが防災能力の高さに かかわっているのではないか という点について、お話しさせていただければと思います。