第151回
※神戸大学東日本大震災支援・調査活動報告会(第5回)として、神戸大学震災復興プラットフォームとの共催で実施されました
日時 :2011年6月25日(土)14:00~17:00
場所 :神戸大学 工学研究科 C1-301
内容:
①復興都市計画について-釜石市を事例として-
平山洋介(神戸大学大学院人間発達環境学科 教授)
②東日本大震災の地震の概要と津波波高分布について
吉岡祥一(神戸大学都市安全研究センター 教授)
③高所への避難でいのちを守る~現地聞き取り調査からの考察~
林能成(関西大学社会安全学部 准教授)
④地震動および津波による建築構造物の被害
藤永隆(神戸大学都市安全研究センター准教授)
①復興都市計画について-釜石市を事例として-
平山洋介(神戸大学大学院人間発達環境学科 教授)
震災復興の最大の課題の一つは、住宅・復興である。これに関して、阪神・淡 路まちづくり支援機構、東京大学社会科学研究所の有志メンバーによる 釜石市調査に参加した。まだ分かっていないことが多いが、調査結果をもとにして、阪神・淡路大震災での経験との比較をまじえ、住宅・都市復興の実 態と展望につ いて報告した。議論のポイントは、①住宅・都市被害の状況、②復興都市計画の推 移と特徴、③住宅復興政策の展望、等である。
②東日本大震災の地震の概要と津波波高分布について
吉岡祥一(神戸大学都市安全研究センター 教授)
東北地方太平洋沖地震が発生してから3ヶ月が経過した。ここでは、理学的見地から、これまでに得られた研究成果に基づいて、なぜ同地震は想定外 の地震 だったのか、震源域で何が起こったのか、また現在何が起こっているのかなど、 同地震の概要について講演する。また、講演者らが行った現地で の津波の波高 分布の調査や解析結果、津波の数値シミュレーション例についても紹介した。
③高所への避難でいのちを守る~現地聞き取り調査からの考察~
林能成(関西大学社会安全学部 准教授)
東日本大震災による市町村毎の死者・行方不明者率はもっとも高い宮城県女川 町や岩手県陸前高田市などでは10%を越えている。これを阪神・淡路 大震災と比 較すると死亡率最も高かった神戸市東灘区でも0.8%であり、今回の災害がまさに 桁違いの大きさであることがわかる。繰り返し報道され ているように、今回の 震災における死者・行方不明者の多くは津波災害によるものである。地震が起き てから津波が襲来するまでの20~60分間を、 生き延びた人々はいかに有効に活 用したのかを知ることは今後の津波防災対策を考える上で極めて重要なこととな る。このような観点から津波避難につ いての聞き取り調査を行ったので、その 暫定的な結果を報告し「迅速な高所への避難」には何が重要であるかについて考 察した。
④地震動および津波による建築構造物の被害
藤永隆(神戸大学都市安全研究センター准教授)
東北地方太平洋沖地震での,地震動による構造物の被害,耐震補強された建物 の被害状況調査を行った。東北大学災害制御研究センター(DCRC) で地震記録 が観測された現場を中心に調査した。また,津波による被害を受けた地域におい て,津波による構造物の被害の調査も行った。地震動および 津波による構造物 の被害や得られた知見について報告を行った。