第141回
■日時:2010年7月24日(土)14:00~17:00
■場所:神戸大学工学部 (C1-301)
■参加者数:26名
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
① 地盤の塩害問題とその解決策の模索
飯塚敦(神戸大学都市安全研究センター教授)
タイ東北部では、農地化のための森林伐採によって気圏-地圏間の水循環に狂いが生じ、塩分を含んだ地下水位の上昇と地表面への塩の析出を引き起こしている。さらには、低下した農業生産を補おうと、地下深部の高塩分濃度地下水を引き上げ、天日乾燥による製塩を副業とするようになった。しかし製塩で不要となった高濃度塩水を灌漑施設に排出するため、塩害を倍加させるばかりでなく、地下水汲み上げに伴う地盤変状まで生じている。このタイ東北部の塩害地をフィールドに、地盤力学を地球環境問題の解決に役立たせる試みを続けている。
② 日本型まちづくりへの転換-密集市街地の安全化のあり方
青木仁(東京電力株式会社技術開発研究所主席研究員)
従来、密集市街地を再開発し、広い道路と立派な住宅・ビルを造ることが建築・都市計画の目標だった。しかし、環境制約が強まる今、旧い発想のまま で良いのか? 道路拡幅が必ずしも防災性向上に繋がらず、快適な都市環境を破壊してきた事実を論証し、ピンポイントの改修による脱クルマ型・人間 的な街の再生を提唱する青木仁氏から、都市に暮らし、都市で働き、自らの住宅やビルに投資するすべての個人や企業、さらには近年その存在感を増してきているNPO等が、主人公として主体的に取り組んでゆく必要性を説いていただき、密集市街地の安全化のあり方を議論しました。
<参考>
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2408-1.htm