第272回 神戸大学 RCUSSオープンゼミナール開催記録

日 時:2021年10月23日(土)14時~17時 

司 会:北後 明彦 神戸大学都市安全研究センター教授

視 聴:ライブ動画配信

主 催:神戸大学都市安全研究センター

共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局

    神戸大学未来世紀都市学研究アライアンス減災デザインセンター


① 降雨による土砂災害を少なくするために

 沖村 孝 神戸大学名誉教授、一般財団法人 建設工学研究所 代表理事

 近年の降雨パターンは従来とは異なり、時間雨量80ミリを超える強雨型が各地で頻繁に出現する一方、降雨強度は大きくないが72時間降雨量が大きい弱雨型の降雨も頻繁に出現している。このような降雨特性に違いは、土砂災害の違いにも影響し、強雨型では土石流が、弱雨型では規模は小さいが表層崩壊型が多発する傾向がある。降雨による土砂災害を少なくするためには、降雨中や避難中にあらかじめ土砂災害形態を予想することは困難であり、早めの避難行動が要求される。少しでも避難行動を早めに、かつ効果的に実行するためには、降雨の特徴を早めに理解するとともに、地域における土砂災害の過去の履歴を学習しておくことも大切であろう。そのためには、普段からの広範な行動が大切であり、いろいろな散歩道を開拓することも必要と思われる。

📺ライブ動画アーカイブ:https://youtu.be/jbjsyHsu6sU?t=0


② 地震・豪雨災害にかかる人為的要因を軽減する事前対策の現状と課題

 橋本 隆雄 国士舘大学理工学部理工学科まちづくり学系教授

甚大な被害をもたらした2011年東日本大震災から今年で10年が経過しましたが、今後も首都圏直下地震及び南海トラフ巨大地震対策が高い確率で発生することが予想されています。このためには、災害前から復興を検討しておく「事前復興」の考え方が非常に重要となります。しかし、多くの自治体では、過疎化・高齢化が進み人口や経済が横ばいや減少の情勢下において十分に検討ができていません。一方、静岡県熱海市では,2021年7月3日に梅雨前線による大雨に伴い標高約390m地点で発生した大規模盛土崩壊が土石流化し、下流に住んでいる多くの人命を失い家屋被害など人為的要因による甚大な被害が発生しました。そこで,これまでの宅地被害の地震・豪雨災害にかかる人為的要因を軽減する事前対策の現状を踏まえ、今後、関係諸機関や住民の皆様が協力して一歩でも災害の課題に備えておく必要があります。

📺ライブ動画アーカイブ:https://youtu.be/jbjsyHsu6sU?t=4592