第73回

第73回MURオープンゼミナール

日 時

内 容

場 所

2004年6月12日(土) 14:00~17:00

米国における防災協働社会を考える

-ノースリッジ地震後におけうr中間支援団体の役割を例に-

ひょうご・まち・くらし研究所 青田良介

神戸大学COE神戸フィールドスタジオ

参加者15名

防災協働社会とは

自助、共助を推進するしくみ

いろんな関係者の役割分担

米国を取り上げる意味

防災協働社会には、何らかのシステム、仕掛けが必要で、米国にはノースリッジ地震の経験がある。

米国の多様化社会における社会的弱者の問題

行政だけでなく、CBO(Community Based Organization)が対応

ロサンゼルスだけで1万5千~2万ある。

ロマプリエタ地震(1989年)の教訓

行政や全国災害NPOが対応することにより

マスケア(Mass Care)の問題点が生じた。

→ 少数だが、多種多様で満たされないニーズ

→ CBOで対応した方がよいとの意見が出てきた

CBOのネットワークを作ろうとする動き

ENLA(Emergency Network of Los Angeles)

メンバー

CBO(各種) 年月を経て、減少傾向にある

行政

全国災害NPO(赤十字、救世軍、その他)

ENLAの事務所は、ロサンゼルスの救世軍の事務所内にある

構成メンバーから会費

CBOネットワーク化による災害対応メカニズム

(ENLAの防災計画)

備えの段階 連携推進(分科会)、訓練・研修

対応の段階 各CBOの特色を生かした支援活動

評価の段階 評価レポートの作成

ENLAと行政の連携の特色

ロサンゼルス郡、ロサンゼルス市は、ENLAをパートナーとして位置づける。

ENLAは、行政に対して中立的立場をとる(賛同もしないが批判もしない。)

行政が入ると、社会的信用力が高まる

全国災害NPOとENLAとの連携

赤十字、救世軍(どちらも大きな組織、多くのボランティアが登録)

大組織の弱点、欠点は、短期救援、マスケアに限られること。

大組織故に、官僚的で現場対応がしにくい(当該組織も認めている。)

災害弱者については、ENLAを介してCBOで処理

CBOで資金等が不足するなどのときは、ENLAを介して大組織に要請

ENLAが生まれる背景

米国防災協働社会を構成する主体

NGO/NPO

全国災害救援ボランティアネットワーク

支援の重複を避ける

州災害救援ボランティアネットワーク

ENLAは、これに位置づけられる

コミュニティ

地域、エスニック、宗教ごとにある

防災協働社会実現のための方策

組織「形態」の統一

SEMS(Standardized Emergency Management)

応急対応組織の標準化

1991年にオークランド火災 連携できなかった。

→ 1993年にSEMSが導入された。

協定、覚書の締結

対等なパートナーシップ

cf.

委託 委託者が決める

受託者は下請けになる

パートナーシップ 対等

助成金

旧FEMA プロジェクト・インパクト

(クリントン政権時)

民間の力を活用

耐震性の強化をはかるためのプログラム

(災害時のコストを下げることができる。)

例えば、1つのコミュニティに100万ドル(1州あたり1~2コミュニティ)

(コミュニティは申請を出して、シードマネーとして100万ドル)

人的な交流

旧FEMA VOL(Voluntary Agency Liaison)

ボランティア団体との調整員

赤十字に当座のお金を出してもらって・・・

などの仕事を行う。

被災者のミーティングに調整員が説明

ENLA結成の支援

避難所(公園のテント)で調整員が、NPOの調整

寄付に対するアレンジ

仮説

主体により異なる役割の違いを認識し、それらを結ぶ媒体の存在が必要。

連携をするにも、組織、制度、資金、人材などの方策が必要

質問

他都市でもENLAのようなものはあるか。

→サンフランシスコなどでもあると聞いている。他にもあると思われる。

連絡先:神戸大学北後研究室

TEL 078-803-6440

MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。

Last Updated 10/05/2019 13:48:18