| 第91回MURオープンゼミナール
日 時 | 2006年2月18日(土)13:30~15:30 | 内 容 | 「グジャラート地震復興調査報告」 渡辺玲子(翻通訳者、2005年1月グジャラート調査に参加) 「生活の回復と安全性の確保を考えた復興について」 北後明彦(神戸大学都市安全研究センター) 「スリランカ復興調査報告」 青田良介(ひょうご・まち・くらし研究所) | 場 所 | 神戸大学工学部 1F 創造工学スタジオ | 参加者 | 14名 | 記 録 | 秋元 康男 |
■「グジャラート地震復興調査報告」 (渡辺)
- インド西部地震(2001/1/26)、マグニチュード7.9、死者2万人
- プージ(グジャラート州の中心都市)での被害
・プージは400年前から栄えてきた城郭都市(都市内部の老朽化、密集化) ・無理な増築、丸石つみ構造のため崩れやすく、被害が大きかった
- 移住団地(密集地の改善のため、城郭外にできた団地)における復興状況
・前庭を造ることで、家が崩れても瓦礫が道路へ散乱しないための工夫あり ・建設コストを下げるためには似た形態の建物が増加 ・復興住宅の敷地はくじ引きで決定されるが、結果が公開されるので交換が可能
- 旧城郭内部の復興状況
・敵襲にそなえて街路を迷路状にしていたため、街区整備は大変難しい ・なるべく建物が潰れてしまったところに、新たに道を通す ・建物の2階をセットバックさせて、崩れても道路に部材が散乱しないように工夫
質疑 区画整理のなかで完全に街区整備をしなおそうという発想はなかったか? →徹底的にやろうとしたが、反発が多かった。 最低限の道路を引き、各戸にアクセスできるようにした。
■「生活の回復と安全性の確保を考えた復興について」 (北後)被害をうけた人は生活の安全を重視するが、住宅の耐震化や街路の区画整理には時間がかかる
両立のポイント 安全志向は大事だが、早期の復興も大切 復興の過程における地域性の考慮 事前の復興策の検討
解決方法 住宅供給だけでなく、地域の活性化とコミュニティの再建も図る 安全の確保には時間がかかるため、段階的復興(中間的復興段階)を図る
■「スリランカ復興調査報告」 (青田)
- 被災者の自力再建支援について
・政府、国連、ドナー(NGOなど)による支援がある
- 住宅再建支援
・緩衝地帯(海岸線から100~200m)を設け、居住禁止区域に指定 ・緩衝地帯に該当する地区の住民は、ドナーが整備した恒久住宅に移転 ・緩衝地帯外の住民は僅かな政府助成金をもとに自力再建 ・開発地域、建物の規模(最低条件)に関しては政府が指示 ・インフラ整備は、幹線のみ政府負担、宅地内はドナーが行う - 生活再建支援
・ほとんどがNGOの支援による →これはイギリス植民地時代からの習慣、普段からNGOは生活に関与していた →政府よりも実質的な援助ができる ・コミュニティの維持という発想は少なく、くじ引き制度で復興住宅の敷地は決まる
まとめ 住宅が確保できることの意味は重要、まず住宅が確保できれば、生活再建に専念できる 丘陵部に大きな住宅地を造っても産業(特に漁業)と連関できなければ、かえって地域の空洞化を招く
質疑 緩衝地帯の設定によって移住させられる人もいるだろうが、日本のような土地への執着はスリランカにはないのか? →「自分たちが住み慣れたところから離れるのは嫌」という土着意識は少ない。 土地へのこだわりは少ないようだ。
恒久住宅は緩衝地帯に造れないが、造らざるを得ない場合、緩衝地帯の内外で建物の構造的な違いはあるのか? →地震がめったにない国なので、基本的に耐震化という考えはない。 津波に対しては、緩衝地帯に樹木を植えて対応しようとしている。
復興過程において住民の意向は反映されるか? →基本は県や郡といった行政主導の政策がほとんど。 住民によるまちづくりは、まだすすんでいない。 NGOが政府に対し意見・提案し、住民の意向を伝えることが多い。
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