第86回MURオープンゼミナール
日 時 | 2005年9月24日(土)13:00~14:30 | 内 容 | 災害復興をめぐる制度的諸問題 室崎益輝(消防研究所) | 場 所 | 神戸大学工学部 1F 創造工学スタジオ
| 参加者 | 34名 | 記 録 | 林順平 |
災害復興をめぐる制度的諸問題 ~阪神・淡路大震災から学ぶ~
■阪神淡路の被害特質と防災制度・システムの課題 1)対応能力を上回る大量被害 低頻度巨大地震にどう対処するか 「後の先」としての事後対応のあり方 2)甚大かつ長期の間接被害 二次・三次被害にどう対処するか 経済的・精神的被害への対応のあり方 →→進化する災害(新しい災害)に後追い的で縦割り的なシステムは有効に対応できなかった。
Memo: 何のために法律・制度があるのか⇒共感できる目標があり、それを達成するためにある。ルールが先に来てはいけない。 災害・社会状況の進化・変化⇒法律・制度も変わらなければならない。 果たして社会と合致しているのか。
■災害の進化と防災制度 ○災害の地域性と歴史性そして進化性 寺田寅彦の「災害進化論」に学ぶ ○災害、進化をもたらした社会情勢の変化 空間構造の変化・・・都市空間の肥大過密化 社会構造の変化・・・社会階層の多様化とコミュニティの希薄化 経済構造の変化・・・経済のグローバル化 技術構造の変化・・・防災技術基盤の進化 →→制度に進化性と柔軟性が求められる
Memo: 原型復旧主義 被害総額 ①公表した被害総額のお金が出る(被害が3兆円だといえば3兆円出る) ②結局元に戻すだけに使われる ●復興 復興事業⇒地元(地域社会)にお金が入ってこない。周辺地域が儲かっている。
■減災のシステムと防災制度 ○減災のサイクルと防災制度 物的減災/事前防備/応急対応/復旧復興 応急対応中心主義的なシステムからの脱却 ○減災のパートナーシップと防災制度 自助/共助/公助 自立的共助システムの制度的再構築 →→制度に総合性と自律性が求められる
Memo: 阪神大震災後、東京とは改定したが結局、応急対応にしてしまった。 地域防災計画 復旧⇒義捐金のことしかない 世界防災会議では予防中心であった。 大大特⇒大半が救助ロボットにとられ、耐震が少し。火災対策など「壊れない燃えない」にはなぜか援助が出ない。 消防もスーパーレスキューなど派手なものだけでなく、予防に力を入れるべき。
■復興制度の検討課題について ○予防法・救助法・復興法の体系化 災害復興法の創設&災害対策基本法の改定 予防と救援・復興との有機的な連携 ○包括的で自律的な補助金制度の確立 メニュー主義や縦割り補助金からの脱却 ○暮らしと地域の再建支援制度の拡充 ・ハード主義あるいは現物主義からの脱却 ・中小企業等への支援対策の充実
Memo: 住宅再建といえば、公営住宅から始まるが、「とりあえず仮設」になっている。そこには、方向性、つながりがない。⇒復興法の創設の必要性 現物支給主義⇒「住宅をつくって、ここに入りなさい。」「弁当を持ってきてこれを食べなさい。」では、物をつくる喜び、自律を得られない。 (室崎)行政が何もしていないんだから、災害に対しての補償はすべきだろう。(津波⇔護岸) (法学)自然災害と国は関係ない。自然災害に対しては、補償できない。
■復興制度の検討課題について ・克服すべき2つの復興原則 1)救貧保護主義 2)原型復旧主義 memo:元に戻すだけでは「反省」がない。 ⇒創造的復興 資金を前倒ししても、後々活かされるはずである。 3)現物支給主義
■復興制度の3本柱 ・住宅再建 ・地域回復 ・都市復興
■住宅再建支援制度について 自助、公助の仕組みを共助で保管 耐震補強と再建支援の相互連携を図る 公的支援の抜本的改善を図る
| 連絡先:神戸大学北後研究室 TEL 078-803-6440
MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。 |
Last Updated 10/05/2019 13:48:09 |