第82回MURオープンゼミナール
日 時 | 2005年4月16日(土)13:30~15:00 | 内 容 | 自主防災から始める緊急対応型防災まちづくり 入江健二、小泉真一郎(大阪府) | 場 所 | 神戸大学COE神戸フィールドスタジオ <神戸フィールドスタジオのご案内> 〒653-0041 神戸市長田区久保町6丁目 アスタくにづか4番館 東棟 302-2 tel:078-643-0456
| 記 録 | 林順平 |
防災まちづくり支援システム(小泉) 防災まちづくり支援システム ①延焼シミュレーション ②アクティビティシミュレーション
↓ 課題発見
災害に強いまちづくりの検討 ・ 建物建築年次区分図 ・ 建物階数図 ・ 道路幅員図 ・ 消防ホースの到達範囲図(消防水利から140m)
①延焼シミュレーション (大地震の際、消火栓は使用不可、消防隊による消火活動は行われない状況下) ・ 出火から180分までの延焼状況(30分毎) ・ 出火から360分までの延焼状況(60分毎)
②アクティビティシミュレーション (大地震により建物が倒壊した状況下) ・ 4種類の移動手段について(徒歩、担架、消防車、小型車)道路閉塞確率をシミュレート →瓦礫が道路から1mせり出していれば通行可能 ・ 到達困難性 (1)一時避難場所への到達困難性(徒歩) (2)二次避難場所への到達困難性(徒歩) 一時避難場所蚊⇒二次(外周道路) (3)消防水利への到達困難性(消防車) 消防車が通る3.0mは確保しにくい (4)消火対象への到達困難性(徒歩) 消防水利から消火対象(各建物へ) (5)救出対象への到達困難性(小型車) (6)救護所への到達困難性(担架) 各建物から救護所へ (7)消防水利を経て、消防対象への到達困難性 外周道路⇒消防水利まで(消防車) 消防水利⇒消火対象(徒歩)
「自主防災から始める緊急型防災まちづくり」の進め方(入江) ① step1 地域住民の危機意識・防災意識の向上 ⇒GISを活用した災害シミュレーションによる街の防災性能評価 step2 自助 ⇒身近なところから取り組む 検討項目:防災訓練、家具の固定、耐震改修 等 step3 共助 ⇒地域のみんなで助け合う 検討項目:防災訓練、防災マップ、共同建替 等 step4 公民協働 ⇒今後のまちづくりを考える 検討項目:まちづくり計画、広場・道路整備、面整備
② モデル事業実施地区 ・ 堺市野田地区 ・ 寝屋川市池田旭町地区
③モデル事業の実施体制
④ワークショップの内容(過去3回) ⇒支援システムの活用 住宅密集市街地における市の整備計画 池田、大利地区 1~3回のワークショップ ・ 延焼シミュレーション条件 出火から360分までの延焼状況 ・ 建物倒壊確率(池田旭町地区) 道路閉塞確率(消防車) ・ 一時避難場所への到達困難性(池田旭町) ・ 消火対象への到達困難性
◇池田旭町の防災性向上のために ・ 延焼シミュレーション 出火6時間後の延焼範囲 ・ 生活道路6.7mに拡幅 ・ 各建物から一時避難場所への到達困難性(徒歩)
◇堺市野田地区におけるワークショップ 1回目 地区に現時点で考える避難ルートを記入 など 2回目 まち歩き など 3回目 防災マップの作成、防災ルール
堺市 ・ 建物倒壊確率(野田地区) ・ 道路閉塞確率(野田地区)・・・徒歩 ・ 道路閉塞確率(野田地区)・・・消防車 ・ 一時避難場所への到達困難確率(野田地区) ・ 消火対象への到達困難性(野田地区) 外周道路→消防水利まで(消防車) 消防水利→消火対象(徒歩) ・ 野田地区 ハード対策 町屋などは景観上難しい 細い道を建替え時などに拡幅 など
○ワークショップの成果 ・ (共助の起点となる)防災マップの作成 避難ルート、一時集合場所 ・ 防災ルールの作成 ・ 延焼防止 ・ 共助の体制作り ・ 地域のボランティア ・ 取り組みの継続 ・ 防災意識の向上
○アンケート結果・・・参加意向 寝屋川・・・積極的に参加 半数以上
・ 回答割合の比較(寝屋川) 低い⇒家具類の固定 家屋やブロック塀の補強
・ 「よくわかった」と回答した割合(%)
| 寝屋川 | 野田 | 延焼の危険性 | 72.7 | 62.5 | 道路の閉塞 | 51.5 | 60.0 | 避難の困難性 | 63.7 | 62.5 | 消防隊の消火活動 | 36.4 | 60.0 | まちの改善案のシミュレーション | 54.5 | 57.5 |
《質疑応答》 ・ 2地区の選択する上での理由について ⇒条件として、大阪市外縁の住宅密集地であること。つぎに、まちづくり協議会の取り組みで応募をかけ、寝屋川市より応募、最終的に2地区から抽選で決定。 堺市の場合、8つの協議会のうち防災にテーマをおいた地区を選択。
・ データは警鐘的でよいと思う。消防水利については、地区内の貯水槽だけでなく、周辺地区からも水利がとれるのではないか。また、実際、ブロック塀だけでなく、瓦が落ちてきて不都合が起きたことがある。
・ 消防活動について、同時火災が起きたときは、優先的にすることなどがあるのかどうか(消防の方に対して) ⇒同時に起きた場合、数に関しては、平常時、2つはありえても、3つはほとんどない。尼崎では4つの消防署を有しているので4件までは対応可能、実際、許容範囲を超えるとかなり燃えることになる。堺市でも5以上は大変苦しい。
・ 拡幅する際、建物はどのように更新するのか ⇒システムの中では地図上で線を引いただけ。元々あった部分については、2階を3階にする可能性はある。(3階建ては準耐火になるようにする)
・ シミュレーション結果からハード面はいいと思ったが、ソフト面では、実際見たほうが信頼性はあると思った。
・ 2つのシミュレーションを関連させたほうがよいのではないか。技術的には難しいのか ・ 瓦礫より火災で逃げられない。 ・ 耐震だけを推すのではなく(町屋などをRCにするわけにはいかない)、耐火改修の必要性があると思う。 ・ まち歩きのデータをもりこんだ方がよいのではないか。 ⇒身近なデータをもっと盛り込むことは可能かも知れない。 ⇒堺ではブロック塀を生垣にすることはしている。
| 連絡先:神戸大学北後研究室
TEL 078-803-6440 MURオープンゼミナールは、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、毎月1回、原則として第1土曜日に開催しているものです。研究室のメンバーが出席するとともに、卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフ、都市や建築の安全に関心のある市民等が参加されています。興味と時間のある方は遠慮なくご参加下さい。 |
Last Updated 10/05/2019 13:48:19 |