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第237回

日 時:2018年9月15日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員60名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① 津波災害からの復興における安全性の検討過程の課題を考える
 荒木 裕子 名古屋大学減災連携研究センター特任准教授
時に災害からの復興では、生活や地域の再建と安全性の確保のための考え方や方法が対立する構図が見られます。東日本大震災後の復興の方針として政府からは「減災」の考え方が示されましたが、東日本大震災後の被災地では、防潮堤の建設による津波防御と災害危険区域の指定による居住制限が主要な津波対策として行われている。
どのような方針が国から、また主な防潮堤の設置者である岩手県、宮城県から示されたのか見てみると、岩手県と宮城県では違いがあった。これら国と県の方針に加えて、災害危険区域の指定者である市町村の検討過程と、実際の災害危険区域の指定事例も用いながら、「安全性と地域再建の検討は統合して行われたのか」、「復興事業のあり方が災害危険区域指定に影響を与えたのか」、「災害危険区域の指定手法は地域性を反映できるものだったか」の3点から、災害復興期の地域再建と安全性の検討過程の課題についての考察が示された。

② 国家による安全確保義務の後退と地域防災の課題
 金子 由芳 神戸大学大学院国際協力研究科教授
       神戸大学都市安全研究センター教授
国家は国民の安全確保についてどこまでの責任を有するのかが問われてきた。1961年制定の日本の災害対策基本法は、目的規定(1条)において「国土並びに国民の生命、身体及び財産」の保護を掲げ、国はこのために「組織及び機能の全てを挙げて」「万全の措置を講ずる」責務を有するとする(3条)。都道府県(4条)や市町村(5条)もまた同様の責務を負う。安全確保義務と称される行政責任である。
しかし2011年東日本大震災の教訓を受けて実施された2013年の災害対策基本法改正では、新たに「基本理念」(2条の2)なる規定が設けられ、国・都道府県・市町村等の責務(3条以下)についても、逐一この基本理念規定に言及する修正が加えられた。このことにより、国家の安全確保義務の射程が狭いものであることが明示されたと考えられる。またこれを補う自助や共助の活性化が問われることになる。本講演においては、前半で国家による安全確保義務がどのように限定されたかを確認し、後半でこうした国家の後退を補う地域主体の安全対策の選択へ向けた制度条件を探った。

参加者:51人(北後)
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