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第162回

日時:7月21日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
参加者数:36人
内容:
①阪神淡路大震災・東日本大震災の経験から見るジェンダー課題
 山地久美子(関西学院大学 災害復興制度研究所 研究員)
②火災に関する法規制のあり方
 山崎栄一(大分大学教育福祉科学部准教授)



①阪神淡路大震災・東日本大震災の経験から見るジェンダー課題
 山地久美子(関西学院大学 災害復興制度研究所 研究員)
 日本は今、社会全体が東日本大震災の復興に取り組んでいる。このオープンゼミナールでは「ジェンダーと災害復興」(男女共同参画と災害復興)をテーマに復興を考えることにした。
阪神淡路大震災と東日本大震災(激甚被災3県)の被災で犠牲になった方々は高齢者が多く、さらに男性よりも女性が多い(阪神淡路大震災 男性:2,713人・女性:3,680人、東日本大震災 男7,360人・女性:8,363人)。阪神淡路大震災では発災から避難所設営、応急仮設住宅、その後の復興まちづくりにおいて男性が中心となり女性の参画が少なかったといわれている。だが、防災・災害復興での女性参画の重要性が広く認識されたのは10年後に国の防災基本計画に「女性の参画・男女双方の視点」が記載された2005年である。同年12 月には第2 次男女共同参画基本計画へ「防災(災害復興含む)」が新たな取り組みが必要な分野として含まれた。その後、防災基本計画には2008 年に「政策決定過程における女性の参加」が追記され、防災・災害復興におけるジェンダーの視点が広がった。その一方で、第3 次男女共同参画基本計画(2010年閣議決定)では「災害(復興)」は独立した分野とはならなかった。
 このような社会状況の中で東日本大震災は発生した。そこで重要となるのは、(1)防災・災害復興政策決定過程に女性を参画するための工夫、(2)性別による役割の固定化の改善、(3)経済活動へ女性の参画を促進する諸政策、(4)個別のニーズに対応するための全国共通被災者台帳(被災者台帳は阪神淡路大震災時に西宮市役所が作成したシステムほか複数ある)と被災者手帳の構築、である。東日本大震災では43の市町村が復興計画策定の予定である(復興庁・国土交通省統計)が、復興計画の策定に女性は殆ど参画しておらず、専門家会議の場合は男性のみで構成された委員会がある。阪神・淡路大震後の神戸市復興計画審議会では100名の委員中、女性は7名であった(女性委員7%)。このたびの震災ではどうか。仙台市震災復興推進本部会議では16名中3名が女性(18%)であるが専門家(大学教育)は1名であり、目標値の30%は大きく下回っている。これは、復興計画策定後に進捗管理を担う復興計画策定委員会においても同様のことが言える。17年前に兵庫県や神戸市、芦屋市では外国人の声を反映する仕組みを取り入れている。復興に社会の多様性を様々な形で反映するためには、これから何が必要か、阪神・淡路大震災の復興まちづくりの経験を踏まえて考える必要がある。復興は5年、10年、15年と長期にわたって続くのであり、主権者である女性は公的な立場で復興に参画すべきである。さらに、高齢者・障害者・子供・外国人など多様な声を反映する仕組みづくりが必要だ。

②火災に関する法規制のあり方
 山崎栄一(大分大学教育福祉科学部准教授)
 建築技術や消防技術が発達したとはいえ、火災事故は依然として起きている。まさに、火災というリスク自身がそれに伴うように成長をし続けているかのようにも見えてしまう。
 火災を事前に予防しその被害の拡大を防止するには、施設・住宅に対して、建物の構造や消防用設備の設置に関する規制等を行うことが一番効果的な方法である。ところが、建築基準法や消防法の基準を遵守していない建物による火災事故というのは後を絶たない。また、法的な規制を強化していても、法的な規制の緩いあるいは及ばない建物への火災事故が発生するわけで、こうなると新たな火災事故と新たな規制強化とのイタチごっこが延々と続けられていくというのが現状である。さらに、建築基準法に関していえば、建築当時の安全基準に従っていればいいわけで、旧来の建物ほど火災リスクを内包させたままとなっているのである。
 建築行政・消防行政というのはいかにして財産権に対して必要最低限の規制で国民の安全を確保するのかという自由国家原理のもとで実施されてきた。そのため、建築行政・消防行政は消極的な活動しかできなかった。建物や消防設備に対する規制の難しさの原因はそういったところにある。
 結論的には、以下のことが示された。①法規制の運用の厳格化が必要であるが、点検・規制に必要な人員(量・質含め)の確保はどうするのかが課題である。②建物の安全性の公表、すなわち基準遵守への心理的圧迫が必要である。
 具体的には、現在どの基準を満たしているのか、いないのかを表示・説明する義務を課し、適マーク制度のような制度を設ける。③補修に関する技術開発・助言を行い、低コストで安全性を確保できるようにする。④建築基準法にも遡及適用を考えていく。具体的には、一定の期間が経過し、安全性が危惧されるようになれば遡及適用を適用する。⑤財政的な支援措置を講ずる。少なくとも、国民の健康・生存に不可欠な建築物には財政支援が行われる必要がある。

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