| 第101回MURオープンゼミナール
日 時 | 2007年1月13日(土)14:00~16:30 | 内 容 | 「住宅再建・被災地復興における共生的安全① より良い住宅・都市復興モデル」 北後明彦(神戸大学都市安全研究センター 本研究室助教授) 「住宅再建・被災地復興における共生的安全② 国内外の住宅再建事例の分析」 堀裕貴(神戸大学工学部 本研究室学部生) 「住宅再建への道標」 紅谷昇平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
| 場 所 | 神戸大学COE 長田フィールドスタジオ | 参加者 | 16名/TD> | 記 録 | 秋元 康男 |
■「住宅再建・被災地復興における共生的安全① より良い住宅・都市復興モデル」(北後)
- 生活の回復と安全性の確保を考えた復興
・ 被害を受けた人は生活の回復と同時に安全を重視するが、 住宅やまちに関して安全を確保するには時間がかかる(例:区画整理) ↓ <ポイント> ・ 安全を志向する一方、早期の復興も大切 ・ 復興の過程における地域性の考慮(=共生) ・ 事前の復興策の検討 ↓ <解決方法 共生的安全> ・ 住宅の供給だけでなく、地域の活性化とコミュニティの再建もはかる(強制ではなく、共生) ・ 安全の確保には時間がかかるため、段階的復興(中間的復興段階)を重視する
■「住宅再建・被災地復興における共生的安全② 国内の住宅再建事例の分析」(堀)
- 共生とは
・ 自然、産業、コミュニティ、街の雰囲気…etc. 被災地における街の文脈、地域性、地域のアイデンティティを生かした復興
- 国内の災害事例と復興過程における共生的安全の課題
・ 北海道南西沖地震 防波堤の建設による「要塞化」 市街地の高台移転と漁業の関係 ・ 雲仙普賢岳噴火災害 コミュニティ維持が可能な事業の導入(三角地帯嵩上げ事業) 火山観光化による自然環境との共生 ・ 新潟県中越地震 集団移転に関してコミュニティの継続に対する一定の配慮 牛や鯉などの飼育産業、地域文化の継承は依然課題
■「住宅再建の道標」(紅谷)
- 阪神・淡路大震災
―住宅再建における問題点 ・ 被災度調査の遅れ ・ 工費解体における「修繕」概念の不足 ・ 仮設住宅建設における民有地・自力仮設への考慮 ・ 民間賃貸住宅への家賃補助 ・ 公営住宅の供給方法 ・ コミュニティの維持
- 住宅再建の原理・原則
<目標> ・ 迅速な住宅再建による暮らしの再建 ・ 安全な都市空間を構成する要素としての住宅再建 ・ 住宅と生活を支える周囲産業の同時再建 ↓ <基本原則> ・ 地域の文脈の考慮・反映 ・ 被災者の自立支援(自立を誘発する支援体系の構築) ・ コミュニティの持続発展 ・ 既存ストックの有効活用 ・ 多様な被災ニーズへの適合 ・ 災害前からの危機管理体制の構築+事態に見合った制度の創出
- 住宅再建の数量計画の考え方
―数量計画策定のため着目すべき項目 ・ 時間:早期供給のための制度・手法の段階的調整 ・ 地域:地域別の需要ギャップの把握 ・ 対象者:支援から漏れる被災者が無いように ・ 優先順位:コミュニティ配慮と弱者優先のバランス ・ 効率性:住民ニーズと費用対効果
- 求められる個別プログラム
―復興に応じて、被災者のニーズがどのように変わっていくのか ・ 自力修繕、自力再建への支援 ・ 民間事業者による住宅供給の支援 ・ 公共住宅の供給 ・ 震災前より質の高い住環境の創出 ・ 推進体制、広域調整の仕組みづくり
質疑
- 対人口比で考えると、過疎の集落に復興費用をつぎ込むのはロスが多い。 しかし、国家全体という広い視野で考えて、復興の価値をどこに求めるのかを熟考する必要がある。
- 広域的な地域の復興においては、行政主導の「強制的復興」になりがちだが、復興リベラリズム(=住民の参画)によって「共生的安全」へとシフトしていく必要がある。 行政と住民間の意見の集約が、復興の最難関課題である。
- 玄海島の例では、被災エリアを行政が買い取って広域的に一括して復興を行った。 現在危惧されている南海・東南海地震のように広域的な被害に対しては、民間の活力を生かすなどほかの効果的な施策が期待される。
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