第241回RCUSSオープンゼミナール

<第241回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2018年1月26日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① ネパールにおける2015年ゴルカ地震の発生メカニズム、被害状況、及び、地震後対応の諸側面
    (Origin, Consequences, and Management Aspects of Gorkha Nepal Earthquake 2015)
 T. N. マッタライ  トリブワン大学地質学部教授、神戸大学都市安全研究センター客員教授
   ( Professor T. N. Bhattarai, Department of Geology, TribhuvanUniversity,Kathmandu,Nepal)

 
 2015年4月25日(土)午前11時56分に、破壊的な地震(Mw 7.8、深度8.2 km)がネパール西部を襲った。この地震で約9,000人の死者と約2,2300人の怪我人が出た。498,852戸の住宅が全壊、256,697戸が半壊となった。また、カトマンズ盆地とその周辺の745以上の歴史的な建築物や寺院が倒壊した。さらに、数千か所に渡って土砂災害が発生し、道路、居住地、住宅、学校、病院、及び、耕作地に重大な損傷を与えた。 
 講演者のマッタライ教授は、現在、ネパールの地震後に設立された復興事業に責任を負う復興庁(NRA)の運営委員会メンバーである。この講演では、地震直後の被害状況の説明とその直後の対応から得られた教訓、及び、NRAが設立された後の復興事業の完了及び進行状況を示す。最後に、社会的及び技術的な問題点について議論をした。


(On Saturday, 25 April 2015 at 11:56 local time, a destructive earthquake (Mw 7.8, hypocenter: 8.2km deep) struck western Nepal. The earthquake caused about 9000 casualties and 22,300 injuries. A total of 498,852 houses were fully collapsed and 256,697 houses were partly damaged. About 7,000 schools were collapsed. 745 monuments in and around the Kathmandu Valley were also damaged. In addition, thousands of landslides also occurred which significantly damaged highways, settlements, residential buildings, schools, hospitals, and cultivated lands. 

The presenter is currently serving as a member of Steering Committee of the National Reconstruction Authority (NRA), the sole responsible organization for all the post-earthquake reconstruction works in Nepal. The presentation gives an account of the challenges faced, and lesson learned immediately after the earthquake. It will then highlight the completed and on-going reconstruction activities undertaken by the NRA. The major social and technical issues being immersed will also discussed.)
(①は、②のDr.T.N.Lohaniが日本語に訳した。)

 PDF形式:講演内容と質疑の概要①

② 2015年ゴルカ地震から分かる災害軽減策推進上の課題:発展途上国の現実は? 
  (Implementation challenges of disaster mitigation understood from 2015 Gorkha Earthquake: How different are the realities of developing countries?)
 Dr.T.N.Lohani 技術専門職員,都市安全研究センター技術専門職員
 
 自然災害は予めの情報を得て起こることはないと誰もがわかる。従って、どんなタイプ・スケールの災害にも対応できるように備えるしか選択肢がない。しかし、新たな対応への試みは追加的な財源が必要だが、発展途上国には財政上の限界がある。特に、開発途上国には最低のインフラとかも整ってない状態では、災害対策の準備は難しい。ネパールの場合でも、政府はかなり以前から5箇年の開発計画や10箇年の開発計画を作成してきているにもかかわらず、必要なインフラがまだできてない。2015年の地震でも、奥地への道路環境が悪いためアクセスしにくく、また、医療施設等の不備により、山間部の村での人的被害が増えたと言える。2015年の地震は、過去の発生傾向から見て近い将来に起こると専門家によって予測されていた地震に該当するが、この地震への準備が不十分だったことが被害規模から見てわかる。住宅・内政省内には救援活動について対応する組織があったが、災害対策サイクル全体を責任をもって対応する組織はありませんでした。では、このような欠点はすべて無くすことができるか?災害後の理想的な対応手順はどのようなものでしょうか? 2015年のゴルカ地震に関連する問題を中心に説明した。

(Everybody knows that natural disasters do not occur with pre-information. So, there is no alternative of being prepared for any type of disaster. However, every new effort necessitates an additional budgetary requirement that developing countries are not always prepared with. In Nepal’s case too, there are enough reasons to say that difficulties in accessing remote sites due to poor road networks, poor health facilities had increased the human casualties figure although Nepalese government is preparing many 5-year and 10-year development plans since very long. The 2015 earthquake was an expected event by the experts on looking the past recurring interval but insufficient preparation can be understood from the large scale of earthquake damage. There was just a unit inside the Ministry of Housing and Internal Affairs (MoHA) to look on the relief works and no any responsible organization was working on disaster mitigation cycle as a whole. Can all such shortcomings be fulfilled? What could be the ideal aftermath scenario of disasters? Issues relevant with 2015 Gorkha Earthquake and Nepal will be covered.)                                参加者:43人(北後)

 PDF形式:講演内容と質疑の概要②

次回のご案内

<第253回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>

日 時:2020年1月25日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    アクセス:MAP:http://open.kobe-u.rcuss- usm.jp/p/access.html
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県

① 2019年台風19号千曲川災害の現状と課題
  吉谷 純一 信州大学工学部 水環境・土木工学科 教授
 令和元年(2019年)10月台風19号は千曲川上流域に豪雨をもたらし、千曲川大臣管理区間で1カ所の堤防決壊、11カ所で越水・溢水、18カ所で内水氾濫が発生した。甚大な被害が発生したこの長野市内での堤防決壊は、立ヶ花観測所で計画高水位を1.69m上回る観測史上最大が原因であり、その最大越流水深は決壊地点での機器管理型水位計により80cmと過去例がないほど大きかったことが確認された。本講演では、最初に、信濃川水系の治水の歴史と計画、及び、千曲川流域での気象水文学的特徴と流域での被害の全体像を述べる。続いて、破堤に関係する立ヶ花狭窄部と穂保での堤防の現状、越流による堤防決壊メカニズムと特徴、氾濫被害のタイプ、住民避難、避難情報、報道の諸事例と課題、今後の千曲川の治水対策について述べる。

② 住む土地を理解して防災対策
  大石 哲 神戸大学都市安全研究センター 教授
 地震災害や火山災害は予測が難しいが、現在の気象観測技術と数値予測(シミュレーション)技術を活用すれば、洪水災害や土砂災害の予測、特に被害予測は可能である。しかし、誰かが住民一人一人に目を配って予測情報や被害情報、あるいは今後の動き方について教えてくれるわけではなく、積極的に情報を取りに行くことが求められる。そこで、本講演では、富山県の事例や、西日本豪雨での事例をもとに土地にあった気象災害情報の活用方法について議論する。

<参考ページ>地域づくりの基礎知識4
http://www.org.kobe-u.ac.jp/kupress/images/05saigaikara.pdf
 http://kobe-yomitai.jp/book/758/
「災害から一人ひとりを守る」北後明彦・大石哲・小川まり子編、神戸大学出版会

今後の予定のご案内

<第254回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2020年2月22(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
      MAP:http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① 被災者主体の復興まちづくりへ向けて~法制度の課題~
  金子 由芳 神戸大学大学院国際協力研究科・都市安全研究センター教授
 災害後の復興まちづくりは、行政の各部門や専門家が多様な領域から関与する結果、縦割りに陥ってしまう恐れがある。しかし被災者にとっては、「復興」とは、一つの総合的な現象である。安全・生活・地域づくりのすべてが一体として、被災地は再生する。本報告では、「復興」の目標設定を「誰が」「いかに」行うべきかの問いを立て、東日本・アチェ・四川・クライストチャーチの研究協力者との合同調査から論点を引き出し、復興まちづくりの意思決定手続きのあり方について報告する。日本の大規模災害復興法やニュージーランドのCERA法は、一般法規を規制緩和し、迅速かつ大胆な復興事業を可能にする狙いが共通する。しかし、2011年の震災後、東日本でもクライストチャーチでも復興は未完である。他方、アチェのRALASは3年で終了し、四川の復興では3年の計画を2年で完了した。仙台防災枠組が「復興」を焦点化した今、スピードだけではなく、安全と生活を両立する質的な目標達成度、またその前提を為す住民参加の視点で、復興を評価する手法の確立が求められ、更に「復興」の目標の明確な定立のために意思決定手続きの構築が待たれている。


② 事前復興と復興ビジョン
 室崎 益輝 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長 神戸大学名誉教授
 阪神・淡路大震災や東日本大震災からの教訓は、暮らしの全体あるいは地域の全体を考えて包括的に取り組まないといけない、被災地の心が一つになるよう議論を重ねて目標を共有しなければならない、そして何よりも、減災と復興の取り組みを災害が起きる前から持続的に進めておくことであった。本報告では、減災のサイクルにおける「事後の復興」と「事前の予防」との関連性や一体性を明らかとするとともに、復興も事後ではなく事前に取り組むべきという脈絡から、事前復興という「事前の復興準備」と「事前の復興事業」の必要性と方向性を示す。復興では、回復をはかる取り組み、減災をはかる取り組み、改革をはかる取り組みの3つが必要となるが、それらの取り組みを包括的に進めるためには、事前の準備として構え(減災の精神、被害軽減のための技能や技術、減災をはかる基盤)と備え(復興の担い手やリーダーの事前確保、用地や資材・物資等の事前の備え、基金や準備金など復興のための財源の準備、計画策定や「復興まちづくり協議会」などの合意形成のプロセスの仕組み・時代と被災者の要請に即した復興の制度)が必要で、その中でも復興の方向性を示すビジョンと復興の可能性を与える復興バネが重要であることを示す。

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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
2020年 3月14日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
<オープンゼミナールについての問い合わせ先>
 神戸大学都市安全研究センター
 〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
 TEL:078-803-6440(担当 熊崎、北後)
 TEL: 078-803-6437(センター事務室 山崎)
 FAX: 078-803-6394

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