第203回RCUSSオープンゼミナール

■日時:2015年 11月21日(土)14時~17時
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
■共催:神戸市消防局
■後援:兵庫県
■プログラム

① 行政による防災備蓄の落とし穴
    堀江進也 神戸大学経済学研究科 特命講師
 今後予想される南海トラフ大地震を含めた災害に備えて、地方自治体ごとに防 災備蓄が活発に進められている。 各自治体は、行政レベルにおける備蓄を推進 しつつ地域住民による備蓄を奨励し、自治体全体の備蓄体制を整えようとしてい る。しかし、災害時の備蓄物資の提 供のような支援政策においては、行政の活 発なリスクマネジメント行動が、市民による行政への過剰な期待を誘引し、結果 として市民のリスクマネ ジメント行動を阻害する傾向にあることが指摘されて いる。備蓄においてもこのような問題は見られるのであろうか。
 本報告では、筆者の所属する神戸大学・九州大学の研究プロジェクトが、2013 年に実施した市民アンケート調査の結果に依拠して、今後の地 域レベルでの効 果的な防災備蓄のあり方について検討を試みる。

② 行政計画としての災害復興―被災者アンケート結果からの検討
    金子由芳 神戸大学大学院国際協力研究科教授
           同 社会科学系教育研究府
              防災リスクマネジメント・ユニット長 
 阪神・淡路大震災から4年目に、神戸市は「復興5年調査」を実施し、その結果 を受けた復興計画の修正を行った。これは行政計画の評価・修正 手法を復興計 画に当てはめたものとみることができる。一方、東日本大震災の被災自治体の復 興担当部門に対する筆者の聴き取りでは、「復興」の 目標は、2011年12月に成 立した東日本大震災復興特別区域法に基づき各自治体が策定した「復興推進計 画」、「復興整備計画」を所与とし て、これに基づく個々の公共事業の貫徹と 考えられる傾向があり、計画評価・修正の気運は感じられない。公共事業の完成 が自己目的化し、「復 興」の基盤となるべき被災者の私権や地域経済を損なう 行政運営が懸念される。より高次の「復興基本計画」に遡って、被災者の生活再 建や地域社 会経済の再生を含めた高次の復興理念を評価基準として、不断の計 画評価・修正メカニズムが構築される必要性が考えられる。
 本報告では、筆者の所属する神戸大学の学際チームが東日本大震災5年へ向け た復興評価をめざし、2015年1月時点で実施したアンケート調 査結果に依拠しつ つ、「復興計画」の点検・修正のありかたについて検討を試みる。

次回のご案内

<第254回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>

日 時:2020年2月22日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    アクセス:MAP:http://open.kobe-u.rcuss- usm.jp/p/access.html
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県

① 被災者主体の復興まちづくりへ向けて~法制度の課題~
  金子 由芳 神戸大学大学院国際協力研究科・都市安全研究センター教授
 災害後の復興まちづくりは、行政の各部門や専門家が多様な領域から関与する結果、縦割りに陥ってしまう恐れがある。しかし被災者にとっては、「復興」とは、一つの総合的な現象である。安全・生活・地域づくりのすべてが一体として、被災地は再生する。本報告では、「復興」の目標設定を「誰が」「いかに」行うべきかの問いを立て、東日本・アチェ・四川・クライストチャーチの研究協力者との合同調査から論点を引き出し、復興まちづくりの意思決定手続きのあり方について報告する。日本の大規模災害復興法やニュージーランドのCERA法は、一般法規を規制緩和し、迅速かつ大胆な復興事業を可能にする狙いが共通する。しかし、2011年の震災後、東日本でもクライストチャーチでも復興は未完である。他方、アチェのRALASは3年で終了し、四川の復興では3年の計画を2年で完了した。仙台防災枠組が「復興」を焦点化した今、スピードだけではなく、安全と生活を両立する質的な目標達成度、またその前提を為す住民参加の視点で、復興を評価する手法の確立が求められ、更に「復興」の目標の明確な定立のために意思決定手続きの構築が待たれている。



② 事前復興と復興ビジョン
 室崎 益輝 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長 神戸大学名誉教授
 阪神・淡路大震災や東日本大震災からの教訓は、暮らしの全体あるいは地域の全体を考えて包括的に取り組まないといけない、被災地の心が一つになるよう議論を重ねて目標を共有しなければならない、そして何よりも、減災と復興の取り組みを災害が起きる前から持続的に進めておくことであった。本報告では、減災のサイクルにおける「事後の復興」と「事前の予防」との関連性や一体性を明らかとするとともに、復興も事後ではなく事前に取り組むべきという脈絡から、事前復興という「事前の復興準備」と「事前の復興事業」の必要性と方向性を示す。復興では、回復をはかる取り組み、減災をはかる取り組み、改革をはかる取り組みの3つが必要となるが、それらの取り組みを包括的に進めるためには、事前の準備として構え(減災の精神、被害軽減のための技能や技術、減災をはかる基盤)と備え(復興の担い手やリーダーの事前確保、用地や資材・物資等の事前の備え、基金や準備金など復興のための財源の準備、計画策定や「復興まちづくり協議会」などの合意形成のプロセスの仕組み・時代と被災者の要請に即した復興の制度)が必要で、その中でも復興の方向性を示すビジョンと復興の可能性を与える復興バネが重要であることを示す。

今後の予定のご案内

<第255回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2020年3月14(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
      MAP:http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
阪神淡路大震災を踏まえて
~耐震工学の変遷と将来への教訓~
  長尾 毅 神戸大学都市安全研究センター教授
 阪神淡路大震災から25年が経過した。あらためて、1995年兵庫県南部地震とはどのような地震だったのかを振り返るとともに、兵庫県南部地震を踏まえて耐震工学分野の考え方はどのように変化したのかを紹介します。あわせて、地震防災の観点から、兵庫県南部地震以降の巨大地震の経験も踏まえて、将来への教訓について考えます。


② 『伝える』は『備える』
~次の世代、次の災害に生かす~

 長沼隆之 神戸新聞社編集局報道部長
 阪神・淡路大震災から25年が経過したが、地元の新聞社として災害・防災報道は続けていく。その究極の目的は「1人でも多くの命を救う」ことだ。地震や津波で死んではいけない。災害で助かった命をその後の避難生活などで失ってはならない。「伝える」ことが「備える」につながればとの思いを胸に取り組んできたが、震災を知らない世代は年々増えていく。次なる巨大災害の発生も懸念される中、「伝える」から「伝わる」報道とは。「受け手との新たなコミュニケーション」をどう作り上げていくか。ともに考えたい。
<参考ページ>地域づくりの基礎知識4
「災害から一人ひとりを守る」北後明彦・大石哲・小川まり子編、神戸大学出版会
http://www.org.kobe-u.ac.jp/kupress/images/05saigaikara.pdf
 http://kobe-yomitai.jp/book/758/
<コラム>p.87~p.89
大石 哲:2009年フィリピン台風災害調査が示した共助から脱落していく人々の問題点
<第5章> p.89~p.104
 金子由芳:被災者主体の復興まちづくりへ向けて
<第11章> p.217~p.235 
 室崎益輝:事前復興と復興ビジョン
<コラム>p.22~p.23
 長尾 毅:場所ごとの地盤条件に応じた住宅の耐震化のあり方
<コラム>p.106~p.108
 長沼隆之:「伝える」ことの大切さ~報道の立場から
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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
2020年 4月18日(土)14時~17時 場所未定
2020年 5月16日(土)14時~17時 場所未定
<オープンゼミナールについての問い合わせ先>
 神戸大学都市安全研究センター
 〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
 TEL:078-803-6440(担当 熊崎、北後)
 TEL: 078-803-6437(センター事務室 山崎)
 FAX: 078-803-6394

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