第181回RCUSSオープンゼミナール

■日時:2014年3月29日(土)14時~17時
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
■共催:神戸市消防局
■参加者数:38名
■内容:

① 自然災害と被災者支援
    山崎栄一 大分大学教育福祉科学部准教授
 未曽有の災害に対して、法制度はどのようにして生活保障・生活再建を支援しようとしているのであろうか。また、すべきなのであろうか。そして、われわれは、将来起こりうる災害に対してどのような備えをすべきなのであろうか。
 東日本大震災に際して行われている被災者支援法制に関する提言というのは、新たになされた提言というよりも、これまでにも絶えず問題が提起されてきたものが多い。いつまでたっても改善が見られないまま、東日本大震災を迎えた。被災者支援法制はこれまでショッキングな災害を経て成長を遂げてきたが、果たして東日本大震災を期にどこまでの成長を遂げるのであろうか。2013年6月に、災害対策基本法・災害救助法などの法改正が行われたが、あくまでも東日本大震災をベースにおいた対症療法的なモノに留まっている。
 今後は、来るべき首都直下地震、東南海・南海地震といった巨大災害に向けた法制度の設計も求められることになるが、基本的人権あるいは民主主義といった憲法価値の実現という「社会的・経済的弱者に優しい危機管理」であるとか、「地域・住民を主役にした危機管理のあり方」といった法制度の設計コンセプトも十分あり得るし、このような設計コンセプトこそが要請されているのではないかと考える。また、現段階においても、そういったコンセプトに立った法制度の運用が求められるのではないだろうか。
 本講演では、こうした新たな設計コンセプトに立った法制度をみんなで考えていく、あるいは、そういったコンセプトに立って法制度を運用してくための基本的な考え方について提示することとしたい。

② 東日本大震災の心理的影響と支援のあり方
    齊藤誠一 神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授 
 震災による心理的被害は短期間に解決するものではなく、回復に至る時間や経過には個人差も大きく、一律の心理的援助では対応が難しい。具体的には、震災トラウマやPTSDに対する個別の対応はカウンセラーなどによりなされているが、被災の程度やその受け止め方による心理的状況は異なり、また時間的経過とともに変化することから、それらに応じたタイムリーな支援が必要であるといえる。より適切な心理的支援を行っていく上で、①被災者の心理的状態を継続的に把握し、支援のあり方を提案すること,②それらの情報を蓄積し、発信していくことが重要な課題であると言える。
 神戸大学でこれまでに行ってきた阪神淡路大震災の心理的影響に関する長期的検討の集積を踏まえ、東日本大震災の心理的影響について、時間的経過とともに変化する心理的影響を被災者の視点から把握し、いま被災者がどのような心理的状態にあり、どのような心理的支援を必要としているかを明らかにし、それらを外部に的確に発信し、より適切な支援を促すことを目的として、現在、東北大学等と共同研究を実施している。
 被災者、現地派遣スクールカウンセラー、被災地学校の教員からのヒアリング、及び、アンケート調査(宮城,福島,山形,栃木,茨城)を、これまでに実施し、地震、津波、放射線被害の大きさ及びそれらの複合的状況により、心理的影響や被害が異なり、援助要請の程度や内容も異なることが明らかになった。とりわけ「被災者と特別視されたくない心理とまだ震災からの心理的影響から逃れられない状況」の葛藤的状態にあることや、被災者間でも認識や意識に大きな隔たりがあることが特徴的である。本講演では、こうした被災者心理に適合した支援のあり方を検討し、提案したい。

次回のご案内

<第250回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>


日 時:2019年11月16日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
通 訳:神戸大学地域連携推進室 学術研究員 山地 久美子



① 感染リスクとエビデンス

  岩田健太郎 神戸大学都市安全研究センター教授
 
 感染症は怖い。でも、何がどう怖いのかはよく分からない。例えば、食中毒は怖い。では、食中毒のどこがどう怖いのか。そこはよくわからない。よく、保健所が食中毒が発生した店を営業停止処分にしているが、あれは妥当なのだろうか。行政の営為は科学的に合理的、かつ理性的なのだろうか。関西空港で麻疹が流行したときに「想定外」だと言われた。しかし、それは本当に想定外のリスクだったのだろうか。風疹の抗体検査を推奨する厚生労働省のポリシーは妥当なのだろうか。このような身近な問題を一緒に検討できれば幸いです。
<参考ページ>地域づくりの基礎知識4
http://www.org.kobe-u.ac.jp/kupress/images/05saigaikara.pdf
 http://kobe-yomitai.jp/book/758/
「災害から一人ひとりを守る」北後明彦・大石哲・小川まり子編、神戸大学出版会
<コラム> p.62~p.65 岩田健太郎:災害と感染症


② カンタベリー地震(2010-2011)への緊急対応-公的機関の及びコミュニティ団体による対応行動
   Canterbury Earthquake Emergency Responses - Action by official agencies and community groups

  ローズマリー ドゥ プレシス 神戸大学都市安全研究セン ター客員教授(カンタベリー大学、社会学)
  Rosemary Du Plessis Visitting Professor RCUSS Kobe Univ. (University of Canterbury, Sociology)
 
 この講演では、2010年及び2011年に発生したカンタベリー地震(ニュージーランド、クライストチャーチ周辺)への様々な緊急対応の状況について焦点をあてます。様々な対応は、公的資金による機関・組織の対応、コミュニティの非営利グループ・団体による非営利団体等により行われました。住民組織間の連携(CanCERN)、地震前にはなかった学生ボランティア隊(SVA)、震災前からあったマオリ・ネットワーク(全国、地方)をベースとして結成されたマオリ・リカバリー・ネットワーク(マオリ族:ニュージランドの先住民)、及び、2011年2月に、最も困っている人々を助けるために地震によってそれほどひどく影響を受けていないコミュニティで形成されたランギオラ地震エクスプレス(即時対応行動する市民組織、ランギオラ:最も被害を受けたクライストチャーチから北へ約30kmにある小さな町)などのコミュニティの組織について紹介し、その意義と課題について議論したいと思います

関連するお知らせ
見て歩き会  ひょうご・⾧田の 歴史、住宅、生活
… 地元を歩きましょう
2019 年 11 月 17 日 ㊐ 9:30~14:00
集合 09:30 JR 新⾧田駅 改札口出たところ
費用 交通費・昼食(各自払い)
(詳細は添付ファイルをご覧ください。)
神戸大学都市安全研究センター オープンセンター2019
“みんなで考えよう 安全・安心で快適なまちづくり”
日 時:2019年11月17日(日) 11:00~16:00
場 所:神戸ハーバーランド スペースシアター
    (JR神戸駅徒歩5分)

今後の予定のご案内

下記、いつもと違う開催場所となることにご留意ください。当初、この内容については、10月に予定していましたが、台風の影響で下記の日程としました。場所の確保の理由で、元町の「こうべまちづくり会館」で開催します。
<第251回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2019年11月30日(土)13時30分~16時30分
場 所:こうべまちづくり会館2階ホール
     開場13時15分~ 先着順受付(無料、定員60名)
     神戸市中央区元町通4-2-14 TEL:078-361-4523 
MAP:http://www.kobe-machisen.jp/access/
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① 世界の災害とNGOによる海外の被災地支援

  吉椿 雅道 CODE海外災害援助市民センター事務局長
 CODE海外災害援助市民センターは、1995年の阪神・淡路大震災(以下、阪神)の際に世界から支援をいただいたお返しに、被災地KOBEの市民が立ち上げたNGOである。阪神以降、世界では立て続けに大規模災害が発生している。CODEは、ささやかではあるが、海外の被災地で住宅再建や雇用創出などの復興支援を世界33の国と地域で行ってきた。支援プロジェクトを決定、実施に至るプロセス、支援の手法などを海外の現場の事例を交えて報告する。そしてCODEが大切にしている「学び合い」、「支え合い」、「最後のひとりまで」という理念をどのように現場の支援で実践しているのかについても語る。
② 学生ボランティアによる被災地支援の実状と現場での受け止め
  
  冨士原 健斗 神戸大学学生震災救援隊 副代表(学生)
 伊庭  駿 神戸大学持続的災害支援プロジェクトKonti 代表(学生) 
 東末 真紀 神戸大学学生ボランティア支援室 ボランティアコーディネーター
 神戸大学学生ボランティア支援室の登録団体(全18団体)の中から、2団体の代表である冨士原及び伊庭より、それぞれが被災地でどのようなポジションで活動を行ってきているか、そしてその成果や学生が考える課題について報告する。神戸大学学生震災救援隊は、24年前の阪神淡路大震災の際発足した団体で、発足以降神戸で様々なテーマで活動を展開し、近年では東北、熊本、西日本豪雨各被災地での支援活動を行っている。また、神戸大学持続的災害支援プロジェクトKontiは、2016年度起こった熊本地震の際、東北ボランティアバスプロジェクトで活動を展開してきた学生が立ち上げた団体で、以降熊本県西原村のほか、近年の豪雨災害での活動も展開している。
 さらに、被災地で行う学生のボランティアの同行や活動コーディネートを通じて感じた、学生ボランティアが現地に与える効果と課題を、東末から報告する。マンパワーでしか期待されてこなかった若者の層をどう参画につないできているのか、参画してみての現地の反応などをこれまでの実践から伝える。

<参考ページ>地域づくりの基礎知識4
http://www.org.kobe-u.ac.jp/kupress/images/05saigaikara.pdf
 http://kobe-yomitai.jp/book/758/
「災害から一人ひとりを守る」北後明彦・大石哲・小川まり子編、神戸大学出版会
<第6章> p.109~p.124
 東末真紀:学生のボランティア活動 課題とこれから~災害ポランティアを通じて~
<第7章> p.129~p.150
 吉椿雅道:海外での被災地支援~声なき声に耳を傾けて~
<第252回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2019年12月21日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
      MAP:http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① 地域社会における災害対応のガバナンス
  
 紅谷 昇平 兵庫県立大学減災復興政策研究科准教授
 日本では、過去の災害教訓を様々な法制度に反映させ、国や自治体等においても災害対策本部等の災害対応体制や被災地への支援体制を整えてきた。それらは一定の成果を出しているが、災害時には必要となる災害対応業務に比べて、自治体の対応資源は大幅に不足することになる。地域社会全体として、災害時に備えた特別の体制を構築する必要がある。本講演では、自治体の災害対応体制を基盤にしたうえで、地域コミュニティ(自主防災組織、消防団等)やボランティア、NPO・NGO、中間支援組織など被災地を支援する体制を重層的に展開できるように、地区防災計画、都市再生安全確保計画、DCP(地域継続計画)など多様な主体が連携した「地域社会の大きな共助」に向けた取組について考えていきたい。

② 地震発生直後の被害額推計と応急対応の意思決定
  
豊田 利久 神戸大学社会システムイノベーションセンター特命教授 神戸大学名誉教授
(概要)日本では、災害対応への体制は大きな災害を経験するたびに漸次的に改訂・改正されてきた。被災者、被災地(行政、家計、企業、その他)を支援するシステムの改善は、各対応段階において有限な資源をいかに活用するか、資源が不足する場合にいかに具面するか、ということが重要なポイントとなる。特に重要な資源はヒト、カネの問題に集約される。この報告では、大震災発生後の緊急対応、復旧・復興の初期段階における対応組織の構築や予算策定のために必要な経済的被害額の推計について考える。まず、阪神大震災以後、公的な被害額推計はどのようになされてきたかを概説する。次いで、被災自治体ごとの物的ストックがハザード要因である地震動や津波によってどのように被害を受けるかをモデル化し、1980年以後の実際のデータを用いて推計した結果を示す。日本のどこで大地震が発生しても、迅速に推計結果を算出・公表して、さまざまな主体の意思決定に役立つシステム開発を進めていることをお話しする。

<参考ページ>地域づくりの基礎知識4
http://www.org.kobe-u.ac.jp/kupress/images/05saigaikara.pdf
 http://kobe-yomitai.jp/book/758/
「災害から一人ひとりを守る」北後明彦・大石哲・小川まり子編、神戸大学出版会
<第4章> p.69~p.86
 紅谷昇平:災害対応のガバナンス
<コラム> p.236~p.238
 豊田利久:阪神・淡路大震災、東日本大震災の経済被害


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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
2020年 1月25日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
2020年 2月22日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
2020年 3月14日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

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