第176回 RCUSSオープンゼミナール

■日時:2013年10月19日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
■参加者数:26名
■内容

① 産官民連携によるパートナーシップ型地域防災
  紅谷 昇平 神戸大学大学院国際協力研究科特命准教授
         (社会科学系教育研究府兼務)
 これまでの災害では、企業、市民、自治体などが個別に災害対応にあたってきた。また行政でも、市町村が対応できない場合には県に、県が対応できない場合には国に要請を行い、資源の確保・調整をしてもらう仕組みだった。
 しかし東日本大震災では、自治体間や官民間での様々なレベルでの水平的な支援・連携がみられた。平時から、自治体や民間企業、市民、NPO等との連携を進めることによって、地域社会全体の災害対応能力を高めることが可能になる。本講演では、このような「パートナーシップ型地域防災」の取組事例について紹介し、その可能性について説明があった。
産官民(企業・自治体・市民)が災害時において、限られた資源でニーズを満たすには相互に連携し合う取組が不可欠である。ここでは、平時から産官民連携に伴い災害に備えることをパートナーシップ型防災とし、従来までの保有資源のみを活用する前提ではなく、外部からの資源活用を前提した防災体制の必要性を指摘した。事例では、大阪府の河内長野市の例を示し、企業・市民・自治体の取り組みを紹介した。
 質疑応答では、外部支援にあたって事前に他地域と連携協定を結ぶ必要性について問われ、外部支援が機能する上では有効であり、地域間での連携協定は各地で進みつつあるとの説明があった。また、地域内での初動を早めることによって、外部資源の受け入れの円滑化が考えられていると指摘した。
② 大災害時の市民、事業所の効果的な防災活動について
  松山 雅洋 神戸市消防局予防部長
 南海トラフ地震や首都直下地震等の大災害では、市民、企業の自主防災活動が被害の軽減に大きな力となる。具体的な事例としては、阪神・淡路大震災では、三ツ星ベルトの自衛消防隊や神戸商船大学(現神戸大学)白鳳寮の寮生が消火や救助に目覚しい働きをされている。また、JR福知山線列車脱線事故等でも事故周辺企業が救出、救護に活躍された。一方、米国でも1994年に発生したノースリッジ地震では、市民のボランティアチームであるCERT(Community Emergency Response Team)が活躍している。本講演では、これらの事例から市民、企業の大災害時の効果的な防災活動のあり方について示された。 
 【講演要旨】
 大災害時の業務を効果的に行うためにはその業務が日ごろから行っている業務であること及び指揮調整機能が備わっていることが大切である。
 日常業務が災害時の業務とならない組織においては災害時の業務の日常業務化を行う必要がある。計画を立てて訓練を繰り返すことで災害時の業務の日常化が図れる。
 次に指揮調整機能であるが、日本の自主防災組織は、各人に平常時から決められた役割を割り当てている。この制度は任務への責任感、専門性が高まる利点があるが、一方、災害がいつ起こるか予測できず、災害での被災する場合もあることから予定した者が集まらないという欠点もある。
 米国CERTはICSの考え方を取り入れ、災害発生時にその時に必要となる業務を人に振り分けるという組織編制をしている。これはその時点で動員できる人数で最大の効果を生み出す利点がある。
 大災害時の活動できる人員が不確定な面がある自主防災組織においては、指揮調整機能等の災害現場での組織編制は、米国CERT(ICS)の考え方を取り入れた機能重視の組織編制とすることが望ましい。
 上記の組織編制とした場合は自主防災組織のリーダーの役割が重要になるので、災害時のマネージメントができるリーダー養成が不可欠である。
 【質疑応答】
 神戸市における地域の防災福祉コミュニティ(自主防災組織)のリーダー養成の仕組みについて問われ、小学校単位・各地団体と連携に基づく取り組みや防災リーダー研修等、指導者の養成についての活動について説明があった。

次回のご案内

<第224回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2017年8月19日(土)14時~17時
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 大石 哲
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室 ■後援:兵庫県
■プログラム

① 2016年糸魚川市大規模火災の概要と課題
   ピニェイロ アベウ 神戸大学大学院工学研究科助教
   北後明彦 神戸大学都市安全研究センター教授
2016 年12 月22 日に新潟県糸魚川市で大規模火災が発生しました。今回の火災がどのように大火に至ったのか、どんな特徴があるのか、強風下での飛び火はどのように起こるのか、 得られる教訓と今後の課題は何かといったことについて、研究室で実施した焼け跡調査結果をベースとして、消防庁「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」で公開された資料、及び、5月19日に開催された日本火災学会・特別企画ワークショップでの報告内容を参考として、糸魚川市大規模火災の全体像を示したい。


② 昭和51年(1976年)10月酒田大火に学ぶ
   山本信一 元大阪市消防局(日本火災学会首都直下地震火災被害想定委員会専門委員)
平成28年(2016年)糸魚川市大規模火災から遡ること約40年前に、山形県酒田市で大規模火災が発生した。酒田大火である。当時、酒田市消防本部の風速計は瞬間風速35メートルを記録した。烈風に伴う飛び火は猛吹雪のように建物を襲い、道路を横断する火炎はゴジラの口からの火炎放射のように次々と建物を焼き尽くしていった。被災地域の周長は約2.2km、焼損面積152,105㎡、延べ1774棟が焼失、罹災所帯数1,023世帯・被災者数約3,300人であった。糸魚川大規模火災の比ではない。そこで、消防の視座から強風下の大規模火災の火災防御、並びに、減災対策について、以下の図式から考察を加え、都市大火の延焼・拡大力を防ぐ消防力の提案を行いたい。
「建築・都市計画力」+「消防力」+「自助・共助力」>「火災の延焼・拡大力」

今後の予定のご案内

<第225回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2017年9月16日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員60名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
      http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室
後 援:兵庫県
内 容:

① 災害救助法徹底活用は地方自治体における時系列(タイムライン)災害対応の要
   田中健一 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程大学院生 
近年の災害では地方自治体の災害対応の遅れや、エリアメール等避難情報の出し忘れなど、災害発生時の地方自治体は混乱を生じ、冷静沈着な対応が出来なかったことで大きな被害が出ています。既に我が国には、タイムラインの考え方を取り入れた災害救助法という法律があり、その運用が示されています。地方自治体の災害発生時から復旧・復興時に至る全過程を網羅しており、災害救助法の徹底活用こそが被災者救済のためのタイムラインそのものだと考えています。その一例として九州北部豪雨時における朝倉市災害対策本部での様子を時系列で事例として示します。

② 災害対応のトレーニングセンターの建設・運営を考える
   沼田 宗純 東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター 講師 
日本は毎年多くの災害に苦しんでいるが,「災害対応トレーニングセンター」が無いために,効率的な災害対応の実現が難しい.結果として,2016年熊本地震を例示するまでもなく,災害発生後の混乱状況の中で,多くの行政職員は何をやったらよいのかが分からない状況に陥ってしまう.一般的にこの状況は被災市町村で最も顕著であるが,都道府県や国家中央政府であっても,改善の余地は大きい.巨大地震をはじめとして,大きな災害が頻発する危険性の高い我が国において,今の状況では,効率的な災害対応は望めない.そこで災害対応のトレーニングセンターを設置することで実践的な研修を行い人材育成する仕組みを考えたい.
<参考資料>


--------------------------------------------------------------------
※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
● 2017年10月14日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2017年11月18日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2017年12月 9日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 1月20日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 2月10日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 3月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)