【第163回】2012/09/15 ①要援護者の避難支援体制の実態と課題-佐用町豪雨災害及び東日本大震災時の民生委員の活動調査より-(竹葉勝重 神戸大学大学院工学研究科博士課程後期課程/エス・ティー・アート代表)


災害時における要援護者の避難支援について、実態と課題を整理し、今後の要援護者支援計画の方策を探る一連の研究の内、民生委員の活動を取り上げた調査・研究についての報告が行われた。
 要援護者の避難支援対応について、民生委員を取上げたのは、地域での要援護者の避難支援活動は、自主防災組織が中心となって行われる例が多くあるが、自主防災組織では、要援護者が何処に、どの様にいるかわからないという対象者の情報不足がある。その一方で、日頃から高齢者の見守り活動などをして、情報を持っている民生委員がいる。
 こういう地域の関係の中で、災害時、情報を持っている民生委員がパワー不足という状況の中で何をしたのかということを、民生委員の側から見ていけば、地域の連携の姿や地域支援のあり方というものを考えていくうえで、重要な知見が得られるであろうというのが研究のねらいであった。
 そこで、平成21年8月に兵庫県佐用町でおきた台風9号水害における要援護者対応に関して、民生委員を対象にアンケート調査・インタビュー調査が行われ、水害時における民生委員の要援護者への対応について調査・分析が行われた。水害時、避難勧告の遅れにより地域での混乱が見られ、地域の状況に応じて民生委員各自で判断し行動しなければならない状況であったことから、民生委員と地域住民が一体となって要援護者を避難支援するため、①地域住民と一体となった支援体制づくり、②的確な情報伝達システムと適切な行動マニュアルづくり、③民生委員の心のケア等を進めていく必要があることが明らかとなった。
 また、東日本大震災における津波等で大きな被害を受けた石巻市において、災害時要援護者の避難支援の役割を担っていた民生委員を対象にアンケート調査・グループインタビュー調査が行われ、被災した要援護者に対する支援の実態について把握した。災害時に民生委員が、要援護者の避難支援をどのように行なったかを調査・分析することによって、今後の避難支援計画づくりの課題を整理し、①柔軟に対応する避難支援計画づくり、②要援護者の身体的特徴に配慮した支援計画づくり、③支援者の安全の確保等を進めていく必要があることが明らかとなった。



<第163回オープンゼミナール>
日時:9月15日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
参加者数:38人
内容:
①要援護者の避難支援体制の実態と課題-佐用町豪雨災害及び東日本大震災時の民生委員の活動調査より-
 竹葉勝重(神戸大学大学院工学研究科博士課程後期課程/エス・ティー・アート代表)
②自治体における災害対応の「失敗の本質」-過去の災害事例からの課題と教訓-
 紅谷昇平(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 研究主幹)

【第163回】2012/09/15 ②自治体における災害対応の「失敗の本質」-過去の災害事例からの課題と教訓-(紅谷昇平 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 研究主幹)


 東日本大震災では、想定を上回る津波等によって職員の被災や庁舎・設備の復旧、通信手段・災害対応要員の確保などについて、多くの自治体が災害対応に課題を抱えることになった。また被害の広域化により、政府や自治体間の応援、民間からの物資供給等にも支障が発生した。
 これらは「想定外」が原因の一つとは言え、阪神・淡路大震災後のこれまでの災害と同じ失敗が繰り返されている。その理由の一つとしては、現在の自治体の地域防災計画や災害対応体制に本質的な課題が存在し、多くの自治体でそのことへの対処がなされていないことが挙げられる。
 そこで今回のセミナーでは、過去の災害における自治体の災害対応を振り返りながら、自治体の災害対応に潜む本質的な問題点について考え、今後の災害に向けて、「業務継続体制」、「資源管理」、「災害対策本部体制」、「首長のリーダーシップ」などのあり方が示された。



<第163回オープンゼミナール>
日時:9月15日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
参加者数:38人
内容:
①要援護者の避難支援体制の実態と課題-佐用町豪雨災害及び東日本大震災時の民生委員の活動調査より-
 竹葉勝重(神戸大学大学院工学研究科博士課程後期課程/エス・ティー・アート代表)
②自治体における災害対応の「失敗の本質」-過去の災害事例からの課題と教訓-
 紅谷昇平(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 研究主幹)

次回のご案内

<第235回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>


【重要】前回のお知らせから、会場が変更となっています。(いつもの危機管理センターではありません。)
豪雨災害対応の関係で調整の結果、このような変更としました。また、内容等も一部変更しました。ご了解のほど、よろしくお願い申し上げます。


C3-302室アクセス図(クリック・タップして拡大)
工学部エントランスホールまでお越しください



■日時:2018年7月14日(土)14:30~17:30
■場所:神戸大学工学部 C3-302教室 ← 変更後の会場です。
  ※工学部エントランスホールまでお越しください(詳細はこちら)。
  神戸市灘区六甲台町1-1 http://www.eng.kobe-u.ac.jp/accessmap/
■開場:14時~ 先着順受付(無料)
■司会:神戸大学地域連携推進室 学術研究員 山地久美子
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
■後援:兵庫県
■プログラム

① 要配慮者利用施設における避難確保計画作成上の留意事項
 宇田川 真之 東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター 特任助教
 内閣府(防災担当)のモデル事業として全国の要配慮者施設の参考となるように施設管理者や関係行政機関等が連携して編集された「要配慮者利用施設における避難確保計画作成事例集(水害・土砂災害)」の中から、土砂災害および洪水の事例を中心に紹介し、作成過程において検討課題となった事項などを報告します。

② 平成30年7月豪雨からの避難 ―なにが足りなかったか― 
 北後 明彦 神戸大学都市安全研究センター 教授
 この間に報道された情報をもとに避難状況を振り返り、多くの犠牲者を出してしまったことについて、様々な側面において不足していたことを参加者の皆様と話し合いたいと思います。

今後の予定のご案内



その後のオープンゼミナールの予定
 一昨年8月の台風10号による水害で岩手県岩泉町の要配慮者利用施設での被災で深刻な人的被害が発生したことを契機とする昨年の6月の水防法・土砂災害防止法の改正により、全国の浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の市町村地域防災計画で示された要配慮者利用施設の管理者等は、豪雨時等の避難が必要な際に備えて、各施設ごとに避難確保計画の作成や避難訓練を実施することが義務となりました。神戸市では、危機管理室が主導して各部局と連携して要配慮者利用施設における安全確保を図るとのことです。そこで、5月~7月のオープンゼミナールでは、避難確保計画作成のポイントと避難に係る時間算出、洪水リスクや土砂災害リスクの把握と避難方法の選択、情報を活用した避難開始のタイミング、及び、情報連絡等の留意事項等について各分野から情報提供を行うとともに、計画のあり方についてオープンゼミナール参加者の皆様と議論をして、これらの施設や周辺地域における防災対応力の向上に資することを目指したいと考えています。施設関係者や周辺にお住いの方々をはじめ、ご関心のある皆様方のご参加をお待ちしています。

<第236回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
●2018年8月18日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
①組織の安全配慮義務と事業継続計画(BCP)
~大川小学校津波訴訟判決の教訓と防災を自分ごとにする人づくり~ 
 岡本 正 銀座パートナーズ法律事務所 弁護士・博士(法学)・慶應義塾大学講師

東日本大震災で多数の犠牲者を出した石巻市立大川小学校に関する津波訴訟の控訴審判決が今年4月にありました。大川小のほか十数件におよぶ津波訴訟の裁判経過や判決を分析した研究成果をもとに、企業や行政機関が災害時に果たすべき「安全配慮義務」や会社役員の「善管注意義務」とは何かについて、危機管理と防災・減災の視点から教訓を抽出します。具体的に組織の事業継続計画(BCP)や危機管理マニュアルに教訓をどう反映すべきか、組織で採用すべき人材育成や教育研修のプログラムとは何か、について、講師が創設した『災害復興法学』の観点を踏まえつつ解説します。

② これからの消防法学の展望
 山崎 栄一 関西大学社会安全学部教授

 発表者は、2018年6月より月刊消防(東京法令出版)にて「消防法学入門」を連載している。この連載をきっかけに、消防法の世界における二つの大きな特徴と問いが見えてきた。それは、消防法制をコンスタントに研究している行政法学者が皆無であり、消防実務家によって消防法学が発達を遂げているという点である。そのこともあって、消防法の解釈論が数十年前の行政法のテキストに基づいて展開されている。語弊を恐れずにいえば「消防法学のガラパゴス化」ともいえる現象が起こっている。このような状況をどのように評価すべきなのであろうか。新たな消防法学の可能性はないのであろうか。他方、消防業務の多くの部分は、消防法令を常に意識しながら活動をすることが求められており、実務的な視点に基づいた消防法テキスト・実務テキストが多く普及している。そして、これらのテキストに基づいて、消防に関する法務が実施されているのである。同じく語弊を恐れずにいえば「消防法学における実務と学問の遊離」ともいえる現象が起こっている。消防法学における実務と学問の融合はあり得るのであろうか。このような中で、消防職員に対して、どのような法教育を展開すればいいのであろうか。そもそも論として、学問的な視点から法学や行政法学を教える意味が一体どこにあるのであろうか。今回の発表において、今後の消防法学のあり方について、あくまでも試論(かつ私論)ではあるが、発表者の見解を述べる予定である。



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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
●2018年9月15日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2018年10月20日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2018年11月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2018年12月15日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年1月12日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年2月9日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年3月16日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

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