【第162回】2012/07/21 ②火災に関する法規制のあり方(山崎栄一/大分大学教育福祉科学部准教授)

 建築技術や消防技術が発達したとはいえ、火災事故は依然として起きている。まさに、火災というリスク自身がそれに伴うように成長をし続けているかのようにも見えてしまう。
 火災を事前に予防しその被害の拡大を防止するには、施設・住宅に対して、建物の構造や消防用設備の設置に関する規制等を行うことが一番効果的な方法である。ところが、建築基準法や消防法の基準を遵守していない建物による火災事故というのは後を絶たない。また、法的な規制を強化していても、法的な規制の緩いあるいは及ばない建物への火災事故が発生するわけで、こうなると新たな火災事故と新たな規制強化とのイタチごっこが延々と続けられていくというのが現状である。さらに、建築基準法に関していえば、建築当時の安全基準に従っていればいいわけで、旧来の建物ほど火災リスクを内包させたままとなっているのである。
 建築行政・消防行政というのはいかにして財産権に対して必要最低限の規制で国民の安全を確保するのかという自由国家原理のもとで実施されてきた。そのため、建築行政・消防行政は消極的な活動しかできなかった。建物や消防設備に対する規制の難しさの原因はそういったところにある。
 結論的には、以下のことが示された。①法規制の運用の厳格化が必要であるが、点検・規制に必要な人員(量・質含め)の確保はどうするのかが課題である。②建物の安全性の公表、すなわち基準遵守への心理的圧迫が必要である。
 具体的には、現在どの基準を満たしているのか、いないのかを表示・説明する義務を課し、適マーク制度のような制度を設ける。③補修に関する技術開発・助言を行い、低コストで安全性を確保できるようにする。④建築基準法にも遡及適用を考えていく。具体的には、一定の期間が経過し、安全性が危惧されるようになれば遡及適用を適用する。⑤財政的な支援措置を講ずる。少なくとも、国民の健康・生存に不可欠な建築物には財政支援が行われる必要がある。


<第161回オープンゼミナール>
日時:6月23日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
参加者数:36人
内容:

①阪神淡路大震災・東日本大震災の経験から見るジェンダー課題
 山地久美子(関西学院大学 災害復興制度研究所 研究員)
②火災に関する法規制のあり方
 山崎栄一(大分大学教育福祉科学部准教授)

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次回のご案内

<第238回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2018年10月20日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員90名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
案内図:http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:
① 新潟県糸魚川市における大規模火災の被害概要と発生要因
 岩見 達也 国立研究開発法人建築研究所住宅・都市研究グループ主任研究員

 2016年12月に発生した新潟県糸魚川市における大規模火災に関して、現地調査や、空撮映像等に基づく延焼状況の推定、飛び火による延焼過程を確認するための火災実験、焼損区域を対象としたシミュレーションによる建物構造と延焼状況の確認等の分析結果を紹介する。

② 南海トラフ地震に伴う都市火災リスクの評価-主に大阪市を対象にして-
 西野 智研 京都大学防災研究所 准教授

 大きな地震が都市を襲うと、複数の火災が市街地で同時に発生し、消防力で対応可能な規模を上回ることによって一部の火災は大規模な延焼火災に発展する可能性がある。
 本発表では、近い将来の発生が予想される南海トラフ地震に着目し、(1)地震に伴う火災の発生件数が震源域や地震の規模,地震の発生時期によってどのようにばらつくのか、(2)地震の影響で消防水利が使用できない場合,延焼火災によって建物が被害を受ける確率は一棟一棟で見るとどのくらいの確率になるのか、(3)出火防止対策として設置の必要性が指摘されている感震ブレーカーの普及率向上により、火災の発生件数や延焼火災による建物の被害確率はどのくらい軽減できるのかに関して、主に大阪市を対象に地震火災リスク評価を行った結果を紹介する。


今後の予定のご案内

<第239回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2018年11月17日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員60名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740  
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
後 援:兵庫県
内 容:



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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
●2018年12月15日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年1月12日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年2月9日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2019年3月16日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

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