火災を事前に予防しその被害の拡大を防止するには、施設・住宅に対して、建物の構造や消防用設備の設置に関する規制等を行うことが一番効果的な方法である。ところが、建築基準法や消防法の基準を遵守していない建物による火災事故というのは後を絶たない。また、法的な規制を強化していても、法的な規制の緩いあるいは及ばない建物への火災事故が発生するわけで、こうなると新たな火災事故と新たな規制強化とのイタチごっこが延々と続けられていくというのが現状である。さらに、建築基準法に関していえば、建築当時の安全基準に従っていればいいわけで、旧来の建物ほど火災リスクを内包させたままとなっているのである。
建築行政・消防行政というのはいかにして財産権に対して必要最低限の規制で国民の安全を確保するのかという自由国家原理のもとで実施されてきた。そのため、建築行政・消防行政は消極的な活動しかできなかった。建物や消防設備に対する規制の難しさの原因はそういったところにある。
結論的には、以下のことが示された。①法規制の運用の厳格化が必要であるが、点検・規制に必要な人員(量・質含め)の確保はどうするのかが課題である。②建物の安全性の公表、すなわち基準遵守への心理的圧迫が必要である。
具体的には、現在どの基準を満たしているのか、いないのかを表示・説明する義務を課し、適マーク制度のような制度を設ける。③補修に関する技術開発・助言を行い、低コストで安全性を確保できるようにする。④建築基準法にも遡及適用を考えていく。具体的には、一定の期間が経過し、安全性が危惧されるようになれば遡及適用を適用する。⑤財政的な支援措置を講ずる。少なくとも、国民の健康・生存に不可欠な建築物には財政支援が行われる必要がある。
<第161回オープンゼミナール>
日時:6月23日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-322-5740(消防)
参加者数:36人
内容:①阪神淡路大震災・東日本大震災の経験から見るジェンダー課題
山地久美子(関西学院大学 災害復興制度研究所 研究員)
②火災に関する法規制のあり方
山崎栄一(大分大学教育福祉科学部准教授)
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