【第159回】2012/04/21 ②いのちをつなごう~被災地・非被災地のコミュニティづくり(ロニー・アレキサンダー/神戸大学大学院 国際協力研究科 教授、桂木 聡子/兵庫医療大学 薬学部医療薬学科 講師)

アレキサンダー教授は2006年に「ポーポキ・ピース・プロジェクト」を立ち上げ、世界各地にて市民らに身体・五感・感性・情動を使って、「平和」を表現してもらうワークショップ(お絵描き・物語づくり等)を行なってきた(詳細はhttp://popoki.cruisejapan.com/monogatari.htmlを参照)。今回の発表では、東日本大震災の被災地支援活動として展開した「ポーポキ友情物語プロジェクト」の活動について、アレキサンダー氏・桂木氏からご報告して頂いた。参与型研究を通じて、様々な「被災経験」を記録すると同時に、被災地・非被災地の連携や今後の支援方法を探るためのものである。

震災発生から約1ヶ月後、アレクサンダー教授はプロジェクトの主人公である愛猫「ポーポキ」が描かれた大きな布を持って、宮城県や岩手県の避難所を訪ねた。被災者に切布に自由に絵を描いてもらうよう呼びかたところ、震災で失ったものや希望を託するものなど、様々な心の叫びが寄せられたという。それぞれが描いた切布は60メートルの「ポーポキ友情物語」に連なり、その後、神戸や大阪、そして米国、チェコ、ネパールなど、4カ国6都市で、復興への願いのメッセジーが作品に加えられた。また2012年1月には「いのち」「いかり」「つながり」等のキーワドで章立てられたバイリンガル絵本(日本語・英語)「ポーポキ友情物語~東日本大震災で生まれた私達の平和の旅」が出版された。

「ポーポキ・ピース・プロジェクト」によるワークショップのポテンシャルとし、参加者が人間の存在とは異なる主人公「ポーポキ」の気持ちになって、平和等について原点から考えることが可能であることを示した。東日本大震災の被災地における活動では、怒り、恐怖や悲しみ、そして希望や絆など、言葉では示すことが難しいものが絵で表現され、被災言説が国境を越えて伝わったと考えられる。また、被災地・非被災地における多方向的な交流は、復興への支えにつながる 「情動コミュニティ」の形成に役だったと述べた。復興のイメージ、治安問題、孤独・自殺防止、心のケア、人々の絆や防災対策など、被災者同士・ボランティア同士で多様な課題が共有されたという。今後、「ポーポキ友情物語」から始まった交流活動は「災害に強い平和な社会づくり」を目指し、防災教育にも役立つ取り組みとして継続されることが示された。

<第159回オープンゼミナール>
日時:4月21日(土)14:00~17:00
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-333-0119(消防)
参加者数:32人
内容:
①石巻のこどもたちの現状について
 ―子どもが必要とするケアとにじいろクレヨン活動―

柴田 滋紀 NPO法人にじいろクレヨン(認証申請中)代表
②いのちをつなごう~被災地・非被災地のコミュニティづくり
ロニー・アレキサンダー 神戸大学大学院 国際協力研究科 教授
桂木 聡子 兵庫医療大学 薬学部医療薬学科 講師

次回のご案内

<第256回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2020年5月16日(土)14時~17時
視 聴:下記ページから、ライブ動画視聴申込を事前に行ってください。
   (講師、司会がそれぞれ別の場所からテレ・ゼミナールに出演)
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 飯塚 敦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
    神戸大学減災デザインセンター、未来世紀都市学研究ユニット

① デジタルトランスフォーメーションに向けての道路インフラの取り組み
 金治 英貞 阪神高速道路㈱
 デジタルを活用して、これまでの仕事のやり方を大きく変革することが道路インフラにも求められています。これまで阪神高速では劣化する構造物の点検を丁寧に行ってきており、そのデータの蓄積が安全、安心を確保するために重要と考え資産データとともに日々の業務に活用しています。そして現在そのデータの3次元化や関連化(紐づけ)に取り組み始めました。さらにSociety5.0を見据え、それらを活用した種々のシミュレーションを行い、膨大な資産の日常、災害時の機能最適化に向けた技術的判断、そして技術経営に活かしていきたいと考えています。ここではこれらの取り組みについてご紹介いたします。

② 放射性廃棄物の地層処分
 橘 伸也 神戸大学都市安全研究センター講師
 生活に不可欠な電力を賄うために,原子力を利用してきた,あるいは,今後も依存する国々は,発生する放射性廃棄物をどう処分するかという問題に対峙します.わが国とて例外でなく,処分すべき廃棄物が蓄積している状況にあり,国民全体がバックエンド(後片付け)問題を真剣に考える時期に差し掛かっています.多くの国では,放射性廃棄物を人間の生活圏から長期にわたって隔離するための術として,地層処分が検討されています.日本も,固有の政策に沿いつつも,関連する機関・企業が地層処分の実現に向けた技術・研究開発を進めています.一方で,この施設を国内のどこに建設するかという選定プロセスにおいては,次世代に負担を残さないという認識を共有しつつも,社会的な合意を形成することの難しさに直面しているのが現状です.本講演では,地層処分の実現に向けて取り組まれている技術的・社会的課題を紹介します。

今後の予定のご案内

(コロナウイルスの影響に応じて実施の体制を検討します。)

<第257回神戸大学RCUSSオープンゼミナール、2020年4月18日の延期分>
日 時:2020年6月13日(土)14時~17時
視 聴:下記ページから、ライブ動画視聴申込を事前に行ってください。
   (講師、司会がそれぞれ別の場所からテレ・ゼミナールに出演)
司 会:神戸大学都市安全研究センター 教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局
    神戸大学減災デザインセンター、未来世紀都市学研究ユニット

① 模型復元ワークショップによる復興支援活動と防災・減災活用に向けて
 槻橋 修 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻准教授
 磯村和樹(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構 研究戦略センター 主任研究員
 東日本大震災の復興支援としてはじめた「失われた街」模型復元プロジェクト。9年間にわたる取り組みを振り返り、その広がりと可能性についてお話しします。また復元模型ワークショップを活用した南あわじ市福良地区での事前復興の取り組みを紹介しながら、この方法の防災・減災活用について考えます。

② 津波襲来時における保育施設の避難対応と課題~東日本大震災での経験から考える
 ピニェイロ アベウ 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 研究員
 保育施設では、目的地に向けた自律的な歩行が困難な乳幼児を預かっている施設であるため、津波襲来など大規模災害時における市街地での広域的な避難対応が困難である。本研究では、気仙沼市及び釜石市の沿岸部地域における保育施設を対象とし、東日本大震災に伴う津波からの避難対応について事例調査を行った。避難計画の効果、歩行が可能な園児の誘導状況、多人数用ベビーカーを用いた乳児等の搬送状況、地域コミュニティによる支援過程や津波火災など二次災害から安全な場所に避難先が確保された経緯などに焦点を当て、今後の防災対策を検討する上で重要な課題について考える。

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※上記以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
(開催方式は検討中です。)
●2020年 7月11日(土)14時~17時  場所未定
●2020年 8月29日(土)14時~17時 場所未定
●2020年 9月26日(土)14時~17時 場所未定

<オープンゼミナールについての問い合わせ先>
 神戸大学都市安全研究センター(RCUSS)
 〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
 TEL:078-803-6440(担当 熊崎、北後)
 TEL: 078-803-6437(センター事務室 山崎)
 FAX: 078-803-6394
 MAIL:open(a)rcuss-usm.jp((a)は@にしてください。)
 HP:http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/