【第157回】2012/02/20 ①スロー地震とは何か(廣瀬 仁/神戸大学大学院理学研究科准教授)

阪神・淡路大震災を契機として全国的に整備された高感度地震観測網Hi-net(防災科学技術研究所)やGPS連続観測システムGEONET(国土地理院)等の基盤的地震・測地観測網によって,それまでには知られていなかった様々な地学的現象が世界に先駆けて明らかになってきた.その代表的なものが「スロー地震」(ゆっくり地震)と総称される一群の現象である.スロー地震は通常の地震にくらべて遅い速度で断層がずれ動く現象であり,人体で感じることはなく,観測される地震動が低周波(長周期)の帯域に卓越するもの(周期0.5秒程度の低周波微動や数10秒の超低周波地震)や,ずれる速度がゆっくりすぎて地震動をもたらさないものがある(数日から1年以上継続するスロースリップイベント).ここでは,「スロー地震」の現象の紹介や,その地球科学的な意義とともに,海溝型巨大地震との関係について,微動源領域や傾斜変化のモニタリング・システムなど,講演者が関わった研究事例を中心に講演して頂いた.質疑応答では,スロー地震と津波災害が想定されている巨大地震等との関連性について問われた.スロー地震の領域は,大規模な地震の震源領域周辺に位置すると考えられており,南海トラフ巨大地震など,津波の危険性がある大地震の想定震源域がどこまで広がっているのかを探る上で参考となる.従って,今後,スロー地震に関する研究を継続・発展していくことは重要であるとの見解が示された.

<第157回オープンゼミナール>
日時:2012年2月20日(月)18:00~20:00
場所: 神戸大学工学研究科 創造工学スタジオ2(C3-101)
内容:
廣瀬 仁 (神戸大学大学院理学研究科准教授)
②満点計画―内陸地震の発生予測のために―
飯尾 能久 (京都大学防災研究所教授)
参加者:19人 (北後)

【第157回】2012/02/20 ②満点計画―内陸地震の発生予測のために―(飯尾 能久/京都大学防災研究所教授)

この世の中で起こっている色々な現象の真の姿を明らかにする上で,その現象に関するデータの質と量は決定的に重要な鍵となります.しかしながら,地震予知に関する分野においてはこれまで十分なデータを得ることができなかったため,内陸地震の震源断層を明確に捉えるだけの精度や分解能を持っていませんでした.そこで,飯尾教授は,多点で高精度かつ容易に地震を観測できる安価な次世代型の地震観測システムを開発されました.本講演では,このシステムに用いる地震計を満点の星のごとく多数設置することにより,地震を引き起こす断層の構造や断層にたまる力を詳細に調べることで,将来の地殻の動きを予測する仕組みについて解説していただきました.今後の予測についての見通しは,このような考え方についての理解がいかに広がり,観測地点を増やせるかるかにかかっているということになりました.

<第157回オープンゼミナール>
日時:2012年2月20日(月)18:00~20:00
場所: 神戸大学工学研究科 創造工学スタジオ2(C3-101)
内容:
①スロー地震とは何か
廣瀬 仁 (神戸大学大学院理学研究科准教授)
②満点計画―内陸地震の発生予測のために―
飯尾 能久 (京都大学防災研究所教授)

参加者:19人 (北後)

次回のご案内

<第224回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2017年8月19日(土)14時~17時
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 大石 哲
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室 ■後援:兵庫県
■プログラム

① 2016年糸魚川市大規模火災の概要と課題
   ピニェイロ アベウ 神戸大学大学院工学研究科助教
   北後明彦 神戸大学都市安全研究センター教授
2016 年12 月22 日に新潟県糸魚川市で大規模火災が発生しました。今回の火災がどのように大火に至ったのか、どんな特徴があるのか、強風下での飛び火はどのように起こるのか、 得られる教訓と今後の課題は何かといったことについて、研究室で実施した焼け跡調査結果をベースとして、消防庁「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」で公開された資料、及び、5月19日に開催された日本火災学会・特別企画ワークショップでの報告内容を参考として、糸魚川市大規模火災の全体像を示したい。


② 昭和51年(1976年)10月酒田大火に学ぶ
   山本信一 元大阪市消防局(日本火災学会首都直下地震火災被害想定委員会専門委員)
平成28年(2016年)糸魚川市大規模火災から遡ること約40年前に、山形県酒田市で大規模火災が発生した。酒田大火である。当時、酒田市消防本部の風速計は瞬間風速35メートルを記録した。烈風に伴う飛び火は猛吹雪のように建物を襲い、道路を横断する火炎はゴジラの口からの火炎放射のように次々と建物を焼き尽くしていった。被災地域の周長は約2.2km、焼損面積152,105㎡、延べ1774棟が焼失、罹災所帯数1,023世帯・被災者数約3,300人であった。糸魚川大規模火災の比ではない。そこで、消防の視座から強風下の大規模火災の火災防御、並びに、減災対策について、以下の図式から考察を加え、都市大火の延焼・拡大力を防ぐ消防力の提案を行いたい。
「建築・都市計画力」+「消防力」+「自助・共助力」>「火災の延焼・拡大力」

今後の予定のご案内

<第225回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2017年9月16日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員60名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
      http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室
後 援:兵庫県
内 容:

① 災害救助法徹底活用は地方自治体における時系列(タイムライン)災害対応の要
   田中健一 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程大学院生 
近年の災害では地方自治体の災害対応の遅れや、エリアメール等避難情報の出し忘れなど、災害発生時の地方自治体は混乱を生じ、冷静沈着な対応が出来なかったことで大きな被害が出ています。既に我が国には、タイムラインの考え方を取り入れた災害救助法という法律があり、その運用が示されています。地方自治体の災害発生時から復旧・復興時に至る全過程を網羅しており、災害救助法の徹底活用こそが被災者救済のためのタイムラインそのものだと考えています。その一例として九州北部豪雨時における朝倉市災害対策本部での様子を時系列で事例として示します。

② 災害対応のトレーニングセンターの建設・運営を考える
   沼田 宗純 東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター 講師 
日本は毎年多くの災害に苦しんでいるが,「災害対応トレーニングセンター」が無いために,効率的な災害対応の実現が難しい.結果として,2016年熊本地震を例示するまでもなく,災害発生後の混乱状況の中で,多くの行政職員は何をやったらよいのかが分からない状況に陥ってしまう.一般的にこの状況は被災市町村で最も顕著であるが,都道府県や国家中央政府であっても,改善の余地は大きい.巨大地震をはじめとして,大きな災害が頻発する危険性の高い我が国において,今の状況では,効率的な災害対応は望めない.そこで災害対応のトレーニングセンターを設置することで実践的な研修を行い人材育成する仕組みを考えたい.
<参考資料>


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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
● 2017年10月14日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2017年11月18日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2017年12月 9日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 1月20日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 2月10日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 3月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)