【第155回】2011/11/26 ②岩手県大船渡市における復興計画策定について | 塩崎賢明(神戸大学工学研究科建築学専攻教授)

大船渡市の復興計画策定委員会での検討状況、各側面から考えた復興のあり 方等について報告していただきました。

<報告の概要>
能登半島地震の復興では、限られた生活再建支援金に諸補助金が積み上げられ、自力再建が進み、公営住宅希望者が減った事例があるが、東日本大震災の被災地では支援金がどこまで積み上がるかが課題である。一方、岩手県の住田町や福島県会津地方での現地調査では,長期的生活及び移築・増改築を想定した優良な木造仮設住宅の事例が見られた。能登半島や東北の木造住宅の実績を踏まえ、今後、仮設から恒久住宅への連続復興を目指すべきであり、その際、災害救助法適用による自力仮設住宅支援をはじめ自力再建支援を基本とし、復興公営住宅はそれを補うものとして計画・設計・入居方法に細心の注意が必要である。大船渡市の復興計画については、津波により流出した世帯では津波からの安全を希求して多くの住民が高台移転を希望しており、津波シミュレーションに基づく評価を援用した防波堤・防潮堤・2線堤による多重防御計画、盛土、高台移転、平地の土地利用制限などによる安全確保を考慮した復興まちづくりの大枠が検討された。個々の地域・集落では、それぞれで計画づくりができる体制になっているか、合意形成の仕組みが重要であるが、今後、様々な合意形成の仕組みでそれぞれの条件に応じて復興まちづくりの実施方法が具体化され決定されて行くであろう。農地・宅地の土地利用再編の規制緩和や津波防災地域づくり法案等、従来では出来なかった制度が復興まちづくりに活用されることになるが、高台移転で仕事ができるか、雇用はあるか、漁港集約化、漁業特区の問題、個人の住宅再建資金、移転後の住宅地にサステイナビリティはあるか、人口減少傾向によるインフラの管理費負担問題等、合意形成に際しての検討課題は多い。


第155回 オープンゼミナール

0 件のコメント:

コメントを投稿

次回のご案内

<第229回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2018年1月20日(土)14時~17時

■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室、自然災害研究協議会近畿地区部会 ■後援:兵庫県
■プログラム

① 想定東海地震から南海トラフ地震対策へ
  平原 和朗 京都大学大学院理学研究科教授
内閣府中央防災会議の「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討WG」では、「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」の答申を受け、現時点においては、大規模地震対策特別措置法(大震法)が前提としている確度の高い地震の予測ができないため、大震法に基づく現行の地震防災応急対策を改める必要があると結論した。またその一方で、現在の科学的知見を防災対応に活かしていくことは重要としている。これを受け、気象庁は当面の運用として、2017年11月1日より、従来の東海地域を対象とした「地震防災対策強化地域判定会(判定会)」と一体となって、南海トラフ全域を対象として地震発生の可能性を評価する「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を開催し、「南海トラフ地震に関連する情報」を発表するとしている。大震法設立からこういった南海トラフ地震に対する考え方・防災対策の変更に至った経緯や議論についてお話します。
② 災害ケースマネジメント―被災者生活再建の困難を克服する試み―
  菅野 拓 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 主任研究員
少子高齢化した地域社会を襲った東日本大震災。その被災地では、被災者の生活再建を促す取組、特に住宅への支援ではなく、相談支援を中心としたソフトな施策が、現在進行形で試みられています。現在進行形での試みとなってしまう理由は、日本の災害法制に今の社会状況を踏まえた福祉的なケアや就労支援といった、ソフトな施策が適切に組み入れられていないことに起因しています。このような日本の災害法制が抱える構造を読み解き、東日本大震災や熊本地震の最新の知見を踏まえ、被災者生活再建支援において求められる仕組み=「災害ケースマネジメント」について考えます。


今後の予定のご案内

<第230回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
日 時:2018年2月10日(土)14時~17時
場 所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    開場13時30分~ 先着順受付(無料、定員60名)
      神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/p/access.html
司 会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
共 催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、
    神戸大学地域連携推進室、神戸大学減災デザインセンター
後 援:兵庫県
内 容:
① 避難所からのコミニュテイ形成~「仮設住宅へとつなぐ」~
  吉村 静代 益城だいすきプロジェクト・きままに代表 /益城町テクノ仮設団地自治会長
 熊本地震により大きな被害を受けた益城町では多くの住民が住む家を失い、避難所生活を余儀なくされた。被災者どうしの強いつながりができた避難所を、大きなひとつの家族にした。その避難所での生活においては、役割分担は一切行わずに、「できる人が、できることを、できたしこ(できた分)」をモットーに、得意分野で担ってもらうことで昼間仕事に行く人や子育て人に負担なく過ごすことができた。特別なことでなく、「いつもの生活」、「被災前の生活のリズム」に戻ることが、精神的にも落ち着く。明るく楽しい4か月の避難所生活でのコミュニティが仮設住宅での生活再建につながる。わたしたちは、こうして培ったコミュニティを仮設住宅へと移行し、広げている。今後は終の棲家になるであろう公営災害住宅へとつなぐことにより、孤立化予防につなげたい。
② 透明プラスチック容器蓋を用いた立体地形模型の作成と防災教育
  坪井 塑太郎 人と防災未来センター主任研究員
 食品トレーなどに用いられる容器の透明蓋を用いて一枚の蓋にひとつの等高線を描画し、これを積層させることで地形を立体的に表現する模型を簡単に作成することができる。例えば、六甲山を含む神戸周辺の立体地形模型を作成すると、神戸は海から山まで距離がとても近く、土砂災害などの危険性もとても高い地形であること、また、地震発生の要因となる断層が存在することも認識できるようになる。本報告では、この模型の作成方法と、防災教育の実例を紹介する。
③定点観測活動による震災復興アーカイブづくり ー神戸と大槌の活動からー
  近藤 民代 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻/減災デザインセンター准教授
 阪神・淡路大震災と東日本大震災の被災地で若い世代や多くの関係者と共に定点観測活動を行っている。その目的は、震災を学習し語り継いでいくこと、復興に主体的に参加する動機づけとすること、震災復興アーカイブを作ること等です。神戸での震災タイムスリップウォーク、大槌高校復興研究会との定点観測活動について説明します。定点観測活動はこれらの目的を達成できる有効な手段なのか、課題は何か、皆さんと一緒に考えたいと思います。
④住民目線の防災・復興としての全国被災地語り部ネットワーク構築
   ―阪神・淡路大震災から熊本地震まで
  山地 久美子 神戸大学地域連携推進室学術研究員
「語り部」とは、ある物事を後の代や他の地域に伝える人々で、日本では全国の被災地に災害遺構、防災施設、自治体に所属したり、個人、仲間と独自の取組みをする「災害語り部」がいる。東日本大震災以降は、観光協会等の組織内での活動も増えていてその活動は多様化している。本報告では、国際的にみて独特な文化として捉えられる日本の被災地語り部について主に阪神・淡路大震災から熊本地震までの被災地での活動や組織、人材育成の面から現状と課題を検討する。


--------------------------------------------------------------------
※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。

●2018年 3月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2018年 4月21日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
●2018年 5月19日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

お知らせメール

名前

メール *

メッセージ *