【第146回】2011/1/22 関西国際空港の防火対策 -安心の創造のために- (山本信一 / 関西空港)

関西国際空港は、わが国初の本格的24時間空港として、騒音等環境対策を重点的に考慮した、また、最新の技術の結集をした海上空港として、1994年9月4日にオープンしました。

関西国際空港1期島には、511ヘクタールにもおよぶ広大な空港用地に、両翼1,660メートルにわたる旅客ターミナルビル、貨物ターミナルビルを中心に、およそ45棟におよぶ各種空港施設があります。旅客ターミナルビルは、1日の利用旅客者がピーク時8万人に達する大規模かつ最新鋭の都市機能を備えており、また、本土側と連絡橋一本で接続されている24時間空港の特殊性から、開港当時最新鋭の消防防災設備等が随所にわたって設置されており、その適切な運用と相まって高い水準の安全の維持が強く求められています。

しかしながら、いくら最新の消防防災設備等を消防法・建築基準法等で備えてもそれは防火に対して必要条件であり、それだけでは火災を防ぐことはできません。十分条件としてやはりそれを活用する人(空港に勤務する従業員等)の防災行動力の向上が求められます。

ところで、人間一般に見られる、時間の逓減とともに防災意識の逓減を巷間「防災意識逓減の法則」と呼ぶが、その対極にあるものを考えた時、おのずと「防災意識向上の法則」に思い至ります。ここでは、都市安全の観点から、関西国際空港の防火対策を推進し、実践のなかで見いだした防火防災の法則性について考察が示されました。また、副題に記した現大阪市消防局長岡武男氏の提唱した「安心の創造のために」という新たな理念が、日々の消防防災業務の推進にいかに役立っているかについても言及がありました。


第146回RCUSSオープンゼミナール

【第146回】2011/1/22 大規模イベントの高密度群集滞留の予見が出来なかった要因対策としての群集流動と警備対策に関する研究(貝辻正利 | 神戸大学工学研究科博士課程)

明石大蔵海岸で開催された明石海峡世紀越えイベント「ジャパン・カウントダウン2001」で、会場と最寄りのJR朝霧駅を結ぶ朝霧歩道橋で雑踏事故寸前の高密度群集滞留が発生した。緊急警備措置の結果雑踏事故は回避されたが、この世紀越えイベントの約7ヶ月後に同じ場所で開催された明石市民夏まつりで歩道橋雑踏事故が発生している。そこで本研究は、世紀越えイベントの開催実態を分析することにより、高密度群集滞留の予見及び高密度群集滞留危機を回避出来なかった要因を明らかにすることを目的とする。

分析の結果、歩道橋での高密度群集滞留を予見出来なかった要因は、イベント構成主体をはじめ警察、消防、行政が、安全対策に関する各種情報を共有し、開催現場実態に基く会場適正など、警備対策をイベント総合対策と位置付けた検討と危険抽出による危険認識を共有しなかったことが要因である。

また、歩道橋での高密度群集滞留危機を回避出来なかった要因は、総合安全対策検討欠如等に起因する警備計画の検討不足、警備本部の機能不全及び警察との連携不足の可能性が大きい。しかし、早期に二次導線迂回措置や帰路一方通行を実施しても、歩道橋の目隠しなどの滞留防止措置がなかったため花火打ち上げ時の群集滞留と混雑範囲の拡大は回避出来なかったと推定される。


第146回RCUSSオープンゼミナール


次回のご案内

<第228回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2017年12月9日(土)14時~17時

■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室 ■後援:兵庫県
■プログラム

①  防災・減災に資する豪雨シミュレーション研究の紹介
  吉田 龍二 神戸大学都市安全研究センター特命助教
自然災害を引き起こす大きな要因に大雨や台風といった気象があります。これらの現象は、実はまだ理解されていない点もあり、そのため発生や強度の予測が難しい場合や正確でない場合あります。そこで我々は,より安全な社会の実現を目指し、大雨や台風といった現象の研究を進めています。今回はスーパーコンピュータを用いた数値シミュレーションによる研究例をご紹介させていただきたいと思います。

②  新たなステージに対応した防災気象情報の改善
  ~危険度分布、危険度を色分けした時系列情報などの提供を開始~
  山本 善弘 神戸地方気象台 防災管理官
気象庁では、警報級の現象のおそれを積極的に伝える「警報級の可能性」及び気象警報等の危険度を分かりやすくした「危険度を色分けした時系列」の提供を、平成 29 年 5 月 17 日から開始しました。また、雨による災害発生の危険度の高まりを評価する技術(土壌雨量指数、表面雨量指数、流域雨量指数)を活用して、大雨・洪水警報及び大雨特別警報を改善するとともに、「大雨警報(浸水害)の危険度分布」及び「洪水警報の危険度分布」の提供を平成 29 年 7 月 4 日から順次開始しています。平成 29 年 7 月 5 日~6 日にかけて発生した「平成 29 年 7 月九州北部豪雨」や、9 月 17 日に明石市付近に上陸し兵庫県内に大雨をもたらした台風第 18 号など、社会に大きな影響を与える現象について、可能性が高くなくとも発生のおそれを積極的に伝え、迫っている危険度やその切迫度を認識しやすくなるよう、わかりやすい情報を提供していくことを目指しています。これらの新しい情報について、その活用方法などを解説します。

今後の予定のご案内

<第229回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2018年1月20日(土)14時~17時
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室
    自然災害研究協議会近畿地区部会 後援:兵庫県
■プログラム
① 南海トラフ地震への備えについて(仮題)
  平原 和朗 京都大学大学院理学研究科教授

② 災害ケースマネジメント―被災者生活再建の困難を克服する試み―
  菅野 拓 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 主任研究員
 少子高齢化した地域社会を襲った東日本大震災。その被災地では、被災者の生活再建を促す取組、特に住宅への支援ではなく、相談支援を中心としたソフトな施策が、現在進行形で試みられています。現在進行形での試みとなってしまう理由は、日本の災害法制に今の社会状況を踏まえた福祉的なケアや就労支援といった、ソフトな施策が適切に組み入れられていないことに起因しています。このような日本の災害法制が抱える構造を読み解き、東日本大震災や熊本地震の最新の知見を踏まえ、被災者生活再建支援において求められる仕組み=「災害ケースマネジメント」について考えます。
--------------------------------------------------------------------
※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
● 2018年 1月20日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 2月10日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 3月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

お知らせメール

名前

メール *

メッセージ *