第142回オープンゼミナール

■日時:2010年9月25日(土)14:00~17:00
■場所:神戸大学工学部 (C1-301)
■参加者数:23名
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦


 ① 巨大災害時の課題抽出に向けた取組み
    奥村与志弘(人と防災未来センター主任研究員)

 東南海・南海地震は、千人を越える犠牲が複数の府県で生じるという過去にほとんど経験がないスーパー広域災害です。そのため、府県などの防災関係組織が個別に対応策を検討していては解決できない問題がたくさんあります。
 そこで本研究では、「被災地域の広域性と関係組織の多元性」の視点から災害対応課題を明らかにすることによって、関係組織間で統一された被災イメージを形成したいと考えています。
 具体的には、民間企業を含む多くの関係者の協力の下、災害対応上の課題抽出を行ってきました。その結果、大規模沿岸火災が同時多発した場合には、消火活動さえできない地域が発生するかもしれないということ等、同災害特有の課題が分かりつつあります。


  ② 迅速なコミュニティ・生活回復と復興マネジメントの拠点としての仮設市街地
    -大地震に備えた日常のオープンスペースの非日常の場としての計画づくり
    濱田甚三郎(首都圏総合計画研究所代表取締役)

 「仮設市街地」とは耳慣れない用語だが、被災地が復旧・復興に向かう局面で形づくられる“仮”のまち 並みらしいことは想像できる。しかし、ここで言う「仮設市街地」とは、被災後の混乱のなかで形成される応急的・自然発生的な仮のまち並みとは一線を画し、「意識的、計画的につくる必然的なもの」、「被災市街地の復興基地としての役割を担う復興支援システム」を意味する。
 この用語は、阪神・淡路大震災後に仮設住宅の多くが郊外につくられ、被災地コミュニティが本来拠って立つ市街地と分断されたことでさまざまな問 題が派生したことを受け、災害復旧・復興に関わる専門家・研究者の間から生まれたという。その2年後、「仮設市街地」の概念は、東京都の都市復興マニュアルに登場。さらに平成15年に改訂された震災復興マニュアルで「時限的市街地」という類語となって広がりをみせつつある。「仮設市街地」の用語を生んだ災害復興の実務や研究、計画・提案を行うグループ「仮設市街地研究会(代表 濱田甚三郎)」は、これを東京モデルの全国標準・災害復興支援システムにまで推し進め ることを目指している。
 では、復興支援システムとしての「仮設市街地」とはなにか。ひと言で言えばそれは、被災地内、または近傍で「元の住宅、元のまちをベースに人と 人のつながりを大事にしながら生活再建を図るところ」、すなわち「被災者主体の復興基盤」だという。そうした「仮設市街地」環境は、災害が起こってからつくれるものではない。とくに都市部においては、「仮設市街地」内に、被災住民の仮設住宅をはじめ“市街”を形成する多様な仮施設(浴場、保育所、集会所、 行
政施 設、学校、医療・保健・福祉施設、商工業施設など)の土地確保ができるのかが、最大の課題となることは明らかだ。
 災害が起こる前、すなわち事前(平時)の防災まちづくりにおいて、自助・共助そして公助の連携による復興計画や制度整備、コミュニティ合意づく りが図られなければ、「仮設市街地」はまさに“仮説”となる。いっぽう、それら前提への取り組みそのものが都市部では困難な課題でもあるのだ。本講演では、「仮設市街地」概念の啓発を通じて都市防災の難問の存在を明らかにし、議論と判断、そして行動を促すことを目指す。

次回のご案内

<第228回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2017年12月9日(土)14時~17時

■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
■共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室 ■後援:兵庫県
■プログラム

①  防災・減災に資する豪雨シミュレーション研究の紹介
  吉田 龍二 神戸大学都市安全研究センター特命助教
自然災害を引き起こす大きな要因に大雨や台風といった気象があります。これらの現象は、実はまだ理解されていない点もあり、そのため発生や強度の予測が難しい場合や正確でない場合あります。そこで我々は,より安全な社会の実現を目指し、大雨や台風といった現象の研究を進めています。今回はスーパーコンピュータを用いた数値シミュレーションによる研究例をご紹介させていただきたいと思います。

②  新たなステージに対応した防災気象情報の改善
  ~危険度分布、危険度を色分けした時系列情報などの提供を開始~
  山本 善弘 神戸地方気象台 防災管理官
気象庁では、警報級の現象のおそれを積極的に伝える「警報級の可能性」及び気象警報等の危険度を分かりやすくした「危険度を色分けした時系列」の提供を、平成 29 年 5 月 17 日から開始しました。また、雨による災害発生の危険度の高まりを評価する技術(土壌雨量指数、表面雨量指数、流域雨量指数)を活用して、大雨・洪水警報及び大雨特別警報を改善するとともに、「大雨警報(浸水害)の危険度分布」及び「洪水警報の危険度分布」の提供を平成 29 年 7 月 4 日から順次開始しています。平成 29 年 7 月 5 日~6 日にかけて発生した「平成 29 年 7 月九州北部豪雨」や、9 月 17 日に明石市付近に上陸し兵庫県内に大雨をもたらした台風第 18 号など、社会に大きな影響を与える現象について、可能性が高くなくとも発生のおそれを積極的に伝え、迫っている危険度やその切迫度を認識しやすくなるよう、わかりやすい情報を提供していくことを目指しています。これらの新しい情報について、その活用方法などを解説します。

今後の予定のご案内

<第229回神戸大学RCUSSオープンゼミナール>
■日時:2018年1月20日(土)14時~17時
場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後 明彦
共催:神戸市危機管理室、神戸市消防局、神戸大学地域連携推進室
    自然災害研究協議会近畿地区部会 後援:兵庫県
■プログラム
① 南海トラフ地震への備えについて(仮題)
  平原 和朗 京都大学大学院理学研究科教授

② 災害ケースマネジメント―被災者生活再建の困難を克服する試み―
  菅野 拓 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 主任研究員
 少子高齢化した地域社会を襲った東日本大震災。その被災地では、被災者の生活再建を促す取組、特に住宅への支援ではなく、相談支援を中心としたソフトな施策が、現在進行形で試みられています。現在進行形での試みとなってしまう理由は、日本の災害法制に今の社会状況を踏まえた福祉的なケアや就労支援といった、ソフトな施策が適切に組み入れられていないことに起因しています。このような日本の災害法制が抱える構造を読み解き、東日本大震災や熊本地震の最新の知見を踏まえ、被災者生活再建支援において求められる仕組み=「災害ケースマネジメント」について考えます。
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※上記以降は下記の日程・場所でオープンゼミナールを開催する予定です。
● 2018年 1月20日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 2月10日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)
● 2018年 3月17日(土)14時~17時 神戸市役所4号館(危機管理センター)

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